いい関係「腓腹筋とヒラメ筋」
ふくらはぎにある2つの大きな筋肉、腓腹筋とヒラメ筋。
2つ合わせて「下腿三頭筋(かたいさんとうきん)」と呼ばれています。
この2つの筋肉、始まり(起始)は別々ですが、終わりは1本のアキレス腱となって踵に付着します。
2つとも大きな力を発揮する筋肉で、お互いがお互いを補いながら成り立っています。
「2つの違う個性が、ともに支え合いながら最後は一つになる」
とても良い関係を築いています。
今回はこの2つの筋肉の違いについてフォーカス。
何が違って、どう協力し合っているのでしょうか?
腓腹筋
腓腹筋は明らかなアウターマッスルで、ふくらはぎの一番表層にあります。
ふくらはぎの表面にボコッと見えているのは腓腹筋です。
筋肉が見えやすい人は、二つに分かれていることがハッキリとわかります。
特徴と役割
大腿骨の下側のボコッとしたところに付着します(下図①)。
太ももの裏にあるハムストリングスと筋膜を介して接続しています。
足首、ヒザの関節をまたいでいる2関節筋で「踵を持ち上げる」「ヒザの屈曲」にも作用します。
内側頭と外側頭で違いもありますが、速筋線維が多く、速く収縮する筋肉ということがわかります。
羽状筋なのでパワーもあって「速くて力の強い筋肉」という特徴があります。
形状は横、斜め方向に走行する「羽状筋」に属しているけど、腓腹筋は割と縦に走行しています。
縦に走行しているので「ジャンプ」や「速く走る」ときに強く働くイメージです。
ヒラメ筋
ヒラメ筋は腓腹筋の裏側にあります。
腓腹筋と、後脛骨筋や足趾の屈筋の間に挟まれていて、平べったい形をしています。
形状は「羽状筋」。
脛骨と腓骨から始まって踵に着くので、足首しか動かさない単関節筋です。
特徴と役割
遅筋線維が85%以上あります。筋肉の中で遅筋線維の多さはヒラメ筋がナンバーワンです。
耐久性があって(遅筋線維の多さ)、パワーがある(羽状筋)。
強い負荷にも耐えられて疲れにくい。すごい筋肉です。
大きさは腓腹筋よりも大きいです。
遅筋線維の筋肉ですが、意外にもトレーニングに強く反応します。
腓腹筋と同じ羽状筋ですが、形が違います。
線維が横、斜め方向に広がる形をしているのでバランスを取る、支える役割をします。
つま先立ちになったときに足を支えながらバランスをとったり、体を前へ倒したときに倒れすぎないように支えます。
運動のときにヒラメ筋が支える土台を作って、その上で腓腹筋が強く速く活動するような感じです。
このようなイメージです。
いい関係ですね。まるでパートナーのようです。
(ヒラメ筋から出てる手は支えてるイメージです)
腓腹筋とヒラメ筋の違いを羅列
→ 速い動きをする筋肉
→ 支えるためにいつも働いている筋肉。耐久性がある。
・どちらの筋肉も羽状筋 → どちらも力が強い
・腓腹筋 → 縦方向に走行している
・ヒラメ筋 → 横方向に広がる
・腓腹筋 → 2頭
・ヒラメ筋 → 1頭
・腓腹筋 → 膨らんだ形をしている。表面にある
・ヒラメ筋 → 平べったい。腓腹筋の奥にある。
・腓腹筋 → 2関節筋
・ヒラメ筋 → … 単関節筋
トレーニングのイメージ
・速く強く
・走る、跳ぶ
*ヒザを伸ばして足首を動かす(つま先立ちをする)運動が、最大の筋力を発揮
→ 腓腹筋
・ゆっくり、キープ
・ヒザを曲げてつま先立ち
・片足立ち、ただ立っている、ゆっくり歩く
→ ヒラメ筋
・ヒザを伸ばしてつま先立ち
→ 腓腹筋 ヒラメ筋
ストレッチ
・腓腹筋 → ヒザを伸ばしてアキレス腱を伸ばす。膝の後ろまで意識する。
・ヒラメ筋 → ヒザを曲げてアキレス腱を伸ばす。
まとめ
腓腹筋とヒラメ筋、大きな違いは
● 腓腹筋 … 速筋線維が多い
→ 速い動きをする筋肉
● ヒラメ筋 … 遅筋線維がダントツに多い
→ 支えるためにいつも働いている。耐久性がある。
ヒラメ筋が支える土台を作って、その上で腓腹筋が速く強い力を発揮できる。
2つの筋肉はともに補い合いながら活動していると思うと、体って面白いですね。
そんな機能がもともと備わっているなんて、すごいです。