【後脛骨筋の特徴と作用】筋トレとストレッチ方法

後脛骨筋とは

後脛骨筋は、ふくらはぎの最も深層にある筋肉です。
表層の大きな筋肉、腓腹筋・ヒラメ筋(下腿三頭筋)の裏側に隠れています。

 

脛骨と下腿三頭筋の間で、長母趾屈筋、長趾屈筋に挟まれています。

足首を伸ばす(底屈運動させる)筋肉なのですが、踵を持ち上げることや地面を強く蹴ってジャンプするためには、筋力が弱くて足りません。下腿三頭筋の働きが不可欠です。

『力もないし、裏側に隠れていて大した役割を果たしていない。いらないのではないか?』と思ってしまうかもしれませんが、そんなことはありません。

 

後脛骨筋の働きは非常に重要です。

1.  腓腹筋・ヒラメ筋が働きやすい舞台を整える
2.  足首の微細な力の調整
3.  土踏まずのアーチ形成に関わる

など役割は多岐に渡ります。
縁の下の力持ちのような役割であり、インナーマッスルとしても大切な筋肉です。

 

【起始と停止】

起始:脛骨と腓骨の後面、骨間膜

停止:舟状骨、内側・中間・外側楔状骨、第2〜3中足骨底、(立方骨にも広がる可能性あり)

 

後脛骨筋の作用

後脛骨筋の主な働きは、足部の『底屈』『内反』の動き。
足底で縦、横のアーチを維持することです。
歩行時にはスムーズな足部関節の動きをするために働いています。

1.  距腿関節:底屈

後脛骨筋が収縮すると、つま先を伸ばす方向に足首が動きます。

 

2.  距骨下関節、横足根関節(ショパール関節):内反(回外)

後脛骨筋は、横足根関節に作用し、回外の運動をさせます。
距骨下関節に直接作用するのは、踵骨に付着する下腿三頭筋だけなのですが、距骨下関節と、横足根関節は連動しているので、全体として内反という動きをします。

後脛骨筋は、舟状骨、内側・中間・外側楔状骨、第2〜3中足骨底、立方骨に付着しているので、内反(回外運動)に強く作用します。
反対に言えば、外反(回外運動)を制御しているということです。

 

3.  内側縦アーチ挙上作用

第1中足骨と内側楔状骨との関節(第一足根中足関節)は、中足部の横アーチと内側縦アーチが交差している部分です。
後脛骨筋の緊張は、足部に体重をかけたときに、内側縦アーチが下降するのを制御します。長腓骨筋と張力バランスをとって、アーチを制御しています。

 

4.  歩行の時に足部の運動を制御する

歩行で踵を接地すると、足首(距腿関節)は受動的に底屈をします。
その時、急に”バタンッ”と行かないようにスネの前面にある背屈筋(前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋)が、遠心性収縮をしながら前足部を制御します。
足部の底屈運動を減速させるわけです。(その時背屈筋群はとても強く働きます)

同時に後脛骨筋は、踵を接地した時すぐに活動が始まります。
この筋活動によって、背屈筋の遠心性収縮とバランスを調整して、スムーズな運動をサポートします。

前脛骨筋はさらに距骨下関節と横足根関節の回外位を維持します。
踵を接地するときに足部は回外位をとっているため、靴は踵の外側が減っていることが多いんです。

踵を接地した時は回外位なのですが、そこから距骨下関節は回内してきます。
前脛骨筋の活動が減少すると共に回内運動が始まるので、後脛骨筋はここでもバランスを調整。その動きが急に”バタンッ”と行かないように絶妙な力加減で制御しているんです。

その後足の裏全体の接地となり、下腿は前に倒れ始めます。
後脛骨筋は、底屈筋であるヒラメ筋、腓腹筋、長趾屈筋、長母趾屈筋、長腓骨筋、短腓骨筋と共に遠心性収縮で前傾を制御しながら、足部のアーチの下降を制御します。足部のアーチは荷重による衝撃を吸収しています。


5.  下腿を支える

立つことや歩くことが楽に感じられるようになり、他の筋肉が働きやすい環境を作ります。
姿勢が良くなり、猫背や腰の丸さが軽減します。

このように後脛骨筋の作用は非常に微細ではありますが、とても重要で多岐に渡ります。

 

後脛骨筋トレーニング

後脛骨筋はアナトミートレインでは深前線に含まれ、身体構造の中心でバランスを取る筋膜連鎖群に含まれます。

上記の作用からもわかるように、歩行中に無意識に働いてくれていたり、パワーはないですが、微細に収縮して活躍してくれています。
トレーニングも負荷をかけて筋力訓練をするというよりも、筋肉の場所を理解して、微細な収縮を感じ取っていくようなイメージで練習をします。

うまく実施できると全身の骨格がバランスを取り直す方向へシフトし始めます。

①  セラバンド を使用して内反する運動

1.  セラバンド を土踏まずの前側にかけます。
2.  セラバンド を足の裏で引っ張るように底屈運動をします。
3.  セラバンド を引っ張るように内返し運動をします。
4.  大きな負荷ではないため、30回から50回、それ以上実施してもいいです。左右両方実施します。

②  身体を前へ倒し、それを支える運動

1.  直立で立ちます。
2.  その姿勢を崩さないまま、足首からスネを前へ倒すように体を傾けます。
3.  足の指で踏ん張って、姿勢を保ちます。
4.  7〜10秒キープして、数回繰り返します。

③  踵を持ち上げる(踵が持ち上がるか上がらないかくらいの強度で)

1.  1〜4cm程度の段差(板や木材など)につま先をかけて立ちます。

2.  踵を床につけると後脛骨筋がストレッチされるので、数秒待ちます。

3.  後脛骨筋を意識して、段差をつま先で床へ押し付けます。(後脛骨筋の収縮を感じる)

4.  後脛骨筋を意識して、踵を持ち上げる方向に運動。徐々に力を入れて踵が床からほんのわずかに持ち上がる程度まで。それ以上は持ち上げずに緩めます。

5.  負荷は軽く、回数は多く実施。30回くらい実施したら一休憩。収縮した後は踵をつけて脱力。1回ずつきちんと力を抜くようにします。
(足首の硬さに合わせて段差の高さを調整。最初は低く初めて、徐々に高くすると慣れやすいです)

④  階段などで背屈位からつま先立ち

1.  段差につま先だけかけて、できるだけ踵を低い位置に構えます。
(後ろに倒れやすいので注意。手で何かにつかまって、支えとしても良いですし、少し前屈みで行っても良いです。)

2.  後脛骨筋をイメージして、ストレッチされている感覚を数秒感じます。ほんのわずかにつま先立ちの方向に踵を持ち上げていきます。”ほんのわずか”に持ち上げるのがコツです。

3.  脱力をしすぎないように筋肉は収縮させながら、ストレッチを感じるところまで、踵を下げていきます。

4.  20回を数回実施。終わった後は休みます。(回数はあくまでも目安です)

⑤  踵を最後まで地面から離さずに歩く

歩くときに、踵が地面から離れるのを遅くする。(後ろに蹴りだすのを遅らせるような、踵で地面を蹴りだすようなイメージ)

 

まとめ

後脛骨筋は下腿の中心に位置する筋肉です。
人の体は、中心に近い筋肉ほど繊細に微細に活動することが多いので、練習も微細に収縮運動をすることが有効です。

筋力訓練は強く実践することが良いというイメージが強いですが、インナーマッスルは意識を集中して、丁寧に実践するほうが大事!

後脛骨筋は身体の中心で体を調整する筋肉の1つなので、姿勢や呼吸にまで関連しています。
コツをつかむまでは難しいかもしれませんが、どんな人にとっても体のために有効な場所です。根気よく実践することはお勧めです!