トレーニングの原則はヨガの効果を高められるの?
意識性の原則とは
トレーニングの原則の中の1つに『意識性の原則』があります。
これは「トレーニングをするときに意識の持ち方によって効果が変わる」という原則です。
正しいフォームでできているのか?
鍛えたい筋肉に刺激が入っているのか?
刺激の強さはどの程度なのか?
など、部位への意識を高く持つことで筋トレの効果が高まります。
また、そういった意識でトレーニングを行うことで、集中力が高まることも、効果を引き上げる要因です。
「ハムストリングスを鍛えることで100mのスピードが上がる」など、トレーニングをする目的を明確にすることは、精神的な部分の意識性を高めることになり、それも『意識性の原則』に含まれます。
意識性の原則を高めるには「解剖学」が役立つ
トレーニングの時に、何を意識すると良いのか。
筋肉を働かせることが目的だとすると、詳細に筋肉の走行や部位、運動方向が理解できていた方がイメージがはっきりとして、効果もアップします。
例えば、「ダンベルを持って肘を曲げる」という感覚で筋トレをするよりも、
「肘が曲がるには上腕二頭筋が働いている、上腕二頭筋は肘の内側から肩の前側にくっついているんだよな。いま、上腕二頭筋が収縮して筋肉の長さが短くなって、硬くなっているなー」
というイメージで筋トレをした方が、上腕二頭筋の筋力アップには効果的です。
また、イメージを変えて「肘が曲がりながらも、前腕の内側に力をいれてみよう」と意識すると、同じ肘を曲げる運動でも、前腕の筋肉も働きやすくなります。
意識の持ち方で効果が変わってきますし、より詳細に解剖学を学べば、意識の仕方も変わってきます。
解剖学を知ることで意識できることが深まっていきます。
(文章で書くとわかりにくく感じる人は、絵で見てイメージをしていくのもいいです)
インナーマッスルを働かせるには【意識性の原則】
運動する時に表層の筋肉はわかりやすいです。
肘を曲げて力こぶを出すとボコッとするので、見て触ることができますよね。
(「カッチカチやぞ」って言う芸能人もいました)
ところが、インナーマッスルは体の深部にあることが多くて、見えないし触れにくいです。
そして、小さい筋肉も多いので、普段の生活では部分的に運動させることがほとんどありません。運動する時に勝手に働いているだけなことが多いです。
でも、インナーマッスルは体を支えるためにすごく重要な働きをしています。なので、きちんと鍛えておきたいところです。
遅筋線維が多いのも特徴で、急に大きな負荷をかけてしまうとうまく働きにくいんです。最初は逆に小さな負荷に反応します。
小さな筋肉は小さな負荷から反応しはじめる!ということなので、意識をしっかりと向けて、集中することが重要になります。
さらに役立つのが、先ほどの『解剖学のイメージ』と『意識性の原理』の組み合わせ。
解剖学で「どこに筋肉があって働いているんだな」という明確なイメージを持つことで、微細な筋肉の収縮をイメージしたり感じることができてきます。負荷の少ない運動が意味のある運動になります。
細かな遅筋線維を鍛えていくことのメリットとして、骨格が安定した動きやすい体、代謝の良い太りにくい体になっていきます。
【ポイント】
インナーマッスルに多い遅筋線維を鍛えるには、意識をすることが大事。そのために解剖学は役立つ!
ヨガのポーズは【意識性の原則】で身体をより詳細にしていくこと?
筋トレでもヨガのポーズをするにしても、より詳細に意識できることは、身体を整えるために有効です。
でも、より深めていく段階で、筋トレとヨガのプロセスには大きな違いが出てきます。
その【意識性の原則】の使い方の違いについて考えてみます。
筋トレ
⒈ 肘を曲げる
⒉ 上腕二頭筋が収縮しているのを意識する
⒊ さらに重い負荷をかける、回数を増やし筋力強化
⒋ 筋肉が鍛えられていく
というプロセスになります。
上腕二頭筋が働かせて、より強化するために意識性の原則を応用できます。
それではヨガはどうでしょうか?
基本的にはヨガの目的は筋力をつけることではありません。
より調和のとれた身体を作っていくこと、身体を使って心やストレスをコントロールすること、全体の調和を図ることが目的です。
全体の調和とは、速筋線維と遅筋線維かもしれないし、心と体かもしれません。
ヨガ
⒈ 肘を曲げる
⒉ 上腕二頭筋が収縮し始めたことに気づいていく
⒊ 遅筋線維が先に働き始めるという”サイズの原理”が働いている
⒋ より微細なものへの気づきが深まる
⒌ 微細体への浸透
ヨガのプロセスは筋トレと違って、小さな筋肉の収縮にも気づき、調整できること。より詳細にしていくことです。
自分の小さな変化や自分に起こっていることへの集中は、心の安定、心のコントロールに役立ちます。
もちろんこのテクニックは身体を整えるという段階でもすごく役に立ちます。インナーマッスルを鍛えたり微妙な身体の調整ができるのは、スポーツのパフォーマンス向上にも役立つはずなので。
競技選手であれば緊張(精神)の扱いもうまくないといけませんよね。
まとめ
解剖学を勉強する!となると面倒に感じる人も多いかと思います。
オススメは何か絵でみて「こんな形なんだなー」くらい、見ておくことです。
それだけでも発見があったり、身体的な効果が随分ちがうはずです。
筋トレの仕方によってはマッチョになることもできるし、ダイエットもできるし、バランスのとれた、しなやかな体も作れます。
そのためには『何をやるか』だけでなく『どうやるか』が大事です。
意識性の原則をご活用ください!