筋トレの強さってどれくらいがちょうどいいのでしょうか?
今回は筋トレの負荷を考える「基」になるお話です。
「筋トレの強度」を考えてみます。
「大きな力を発揮したいのか?」
「なめらかに動けるようになりたいのか?」
なりたい自分の目標で、筋トレの強度を変える。
これは、楽しくトレーニングをするコツです。
力を強く働かせるばかりが筋トレではありません。
優しい負荷で筋肉を使うことは、強い負荷とは別の効果をもたらします。
筋肉のしなやかさと強さ、器用さをコントロールするためには、筋線維にくっついている神経も含めて考えます。
そこで出てくるのが運動単位(モーターユニット)です。
難しい印象があるかもしれませんが、意外にそんなことはありません。
体に備わっている画期的な機能なので、参考にしてみてください。
「目的に合わせて筋トレの力加減を変える」とは、どういうことなのか?解説したいと思います。
運動単位について
はじめに運動単位とは何か?
筋肉は筋線維の束でできています。たくさんの筋線維の集まりが筋肉です。
この筋線維には、神経がくっついています。
『運動単位(モーターユニット)』とは、1つの運動神経と、その1つの神経にコントロールされる筋線維をまとめたグループのことをいいます。
神経から指令が送られてくると、その神経が支配している筋線維は全部まとまって収縮します。
運動単位の中で「この筋線維は収縮して、この筋線維は休んでいる」ということはありません。どんな時も1つの単位として働くので「運動単位」と呼ばれます。
筋肉は筋線維の束なので、1つの筋肉の中にこの運動単位がいっぱいあるということになります。
そして、この運動単位にはさまざまなサイズがあります。
1つの神経で数十本くらいの「小さな単位」のものもあれば、2000本くらいの筋線維を支配している「大きな単位」もあるんです。(アイドルでいえばグループの人数が違うような感じです)
ここからがポイント!
筋肉が働くとき、基本的には小さな運動単位から順番に働きます。(これを『サイズの原理』といいます)
小さな負荷では小さな運動単位から働き始めて、大きな運動単位はお休みしています。
そして力の加減によって、次に大きな運動単位が、順番に動員されていきます。
負荷に対して必要な分だけ、次に大きな運動単位を追加しながら筋肉は収縮していきます。
小さいのだけだと足りないから大きな力も順番にプラス → 大きな力を発揮していく というかんじです。
筋力の強さは運動単位が活動している数によって決まります。その力加減を神経がコントロールしている。ということは、トレーニングは筋線維だけではなく、運動神経の働きも活性化されているということです。
力加減を変えること(運動単位パターンの練習)
筋トレで力加減を変えることは、この運動単位の働くパターンにバリエーションを持たせることになります。
例えば、全部の運動単位が、一緒に「せーの」で働くことを「同期化」と言います。
全部が一緒に働くので、すごく大きな力が出ます。
重いものを持ち上げたときにブルブルブルっと筋肉が振るえますよね。あれは筋線維が一緒に働いている(同期化している)状態です。
反対に「せーの」ではなく、タイミングを少しずつずらしながら働くとき、力は弱いですが滑らかに筋線維がバトンタッチしていきます。これを「非同期化」と言います。
運動単位は、ピアノをなめらかにポロンポロンと弾くような感じです。
これを神経でコントロールしています。
同期化するときは、全部の筋線維とそれに関わる全部の運動神経が同時に働くパターン
非同期化のときは、必要なだけの筋線維とそれに関わる運動神経だけが働いて、他の運動神経はお休みしているというパターン。
筋トレはとにかく力を強く働かせるように考えている人が多いようですが、それは一つのパターンに過ぎません。
しなやかに動けるようになりたい方は、強度が強い筋トレばかりするのではなく、優しい負荷でトレーニングすることも『その負荷に適した筋線維と神経を使う』という練習になります。
目的に合わせて筋トレの力加減を変えるといいです。
*運動神経がいい、わるいというのは、こういうことを言っているのかもしれませんね。
筋肉の線維がいろいろなパターンで働けるように、バランス良くトレーニングすることをおすすめしたいです。
→負荷やスピードのバリエーションにたくさん変化をつけてみましょう。
体に備わっている機能をたくさん使って、トレーニングを楽しんでください。