ヨガで体を壊す人が多い理由

ヨガで体を痛めてしまう人が増えているそうです。

ヨガでどんどん体が良くなっていく人がいる一方で、痛めてしまう人もいる。

その差はどこにあるのでしょうか?

僕はリハビリの仕事をしています。他には、ヨガスタジオで解剖学(体の使い方)を教えているのですが、

「腰を痛めてしまいました」
「ヒザが痛いのですがどうしたらいいですか?」

という声をよく聞きます。

体を痛めてしまう人が多い理由と、
じゃあどうしたらよいのか?という、取り組み方について書いていきます。

ヨガの教えと、身体のことを理解してポーズ(アーサナ)を実践すれば、どんな人でも体を壊すことはありえません。

ポーズの完成形を目指してしまう

ヨガのポーズはアートとも思えるくらいキレイにできる人もいます。キレイでかっこいいので「わたしもカッコよくポーズをとりたい」と思ってしまいます。

体が柔軟な人は、最初から難しいポーズができたり、自分の感覚だけでスムーズにポーズを深めていくことができる人もいます。

でも、急にポーズの形を目指そうと思っても、難しい人もいます。なぜなら、体も心も個性は人それぞれ違うからです。その個性に応じた進み方があります。

個性は別々のものなので、みんなが完璧に同じポーズを取れるかといえば、それは無理です。

ではどうしたらいいのでしょうか?
目線を少し変えてみます。

「今の私」を考えて実践しましょう

個性は人それぞれですが、「みんなが共通しているもの」はなんでしょうか?

それは、「今の私よりも一歩進む」という取り組み方です。

体が硬くても、高齢者でも、女性でも男性でも「一歩進む」という方向性を持つことはみんなできます。「今の私」を客観的に見つめて、自分の一歩を進めます。

そのためには『感じる』という感覚、能力を使います。

実はこれこそがヨガで洗練すべきことでもあります。
ポーズの形ではなく、「感じる力を身につけよう」という心構えで実践します。

そうやって実践すると、ゆくゆく体は変化します。

 

自分の体が持っている能力を信じられない

正しくヨガを実践していれば、体を壊すことはありません。

ヨガの基本的なスタイルとして「自分の中にある能力に従っている」があります。
多くの方は自分の持っている能力を知らずに、がむしゃらに実践しています。

 

例えば骨折。
人には、骨が折れたら『治る』という能力があります。がんばったからといって、すぐに治るわけではありません。「骨が折れた。修復しよう」と、体が勝手に時間を使って行っています。身体は徐々に必要な変化をして骨折は治ります。

 

もう1つ例をあげてみます。
腕立て伏せができないのであれば、まずは腕で体を支えるだけでもいいんです。
体はその刺激に対して強くなろうとします。

毎日少しずつ刺激を加えると「またこの刺激が来たんだな。腕で支える力も必要なんだな」と、体は勝手に強くなるように変化してくれます。

腕立て伏せをするのは、その次のステップでいいんです。

体は、ただがむしゃらにがんばったからといって、すぐに変化するわけではない、ということです。

ヨガをしている人はコツコツと適度に続けている。もしくは毎日時間をとって実践します。
これは身体の反応に従っているからです。

 

自分の体のことを知り、持っている能力を活用する

人の体は、勝手に変化する能力が備わっています。これもみんな共通に持っている能力です。その能力をめいっぱい活用します。(機械や物ではない)

無理して鍛えるのではなく、自分の持っているリソース(資産、資源)をまずは知って、無理なく淡々と進んでいきます。

無理をせず、今日も自分に適切で適度な刺激を実践します。
わずかに少しずつ、変化する自分を感じながら進めましょう。

もしも、自分の体の感覚に確信を持てなければ、体の仕組みを学んで「こういうことが私の中で起こっているのね!」とわかると、役立ちます。

 

「がんばる」の弊害

努力をすることが美徳とされていた日本では、それがいきすぎて、
「がんばらないといけない」
「努力しないと成果が出ない」
「人よりも何倍も練習しないといけない」と、
思う方が多いように感じます。

でも、はそのようにはできていません。

体はポジティブな感覚、楽しい、気持ちいい、リラックスしている、という感覚と共に緩んで、拡張していきます。

 

筋膜は平滑筋様細胞を含んでいるので、辛い、怖い、痛いなどの感覚があると、身を守るために緊張して伸び伸びと自由に緩むことができなくなります。

「がんばりすぎる」「焦る」など心の緊張。体の痛みやツッパリ感、緊張しているのにストレッチをしていこうという行為は、アクセルを踏みながらブレーキを踏んでいるのと一緒です。

「どうしてもがんばってしまう」「結果を求めてしまう」「焦ってしまう」という人の方が、圧倒的に体を壊してしまうことが多いです。
これはヨガの実践者でも陥る罠のようなものです。体が硬いから、ということだけが体を壊す理由ではありません。

「リラックス」「気持ち良さ」と共にポーズを実践

ポーズを毎日しているヨガの実践者は努力しているかもしれませんが、その行為の中に「静かな感覚やリラックス、心地よさ、ポジティブな感覚」を感じながら行っています。

その結果として、ポーズが深まっていきます。

体が硬ければ硬いほど、マイペースに「結果よりも自分の中にある心地良さ」と共にポーズをとりましょう。

 

ヨガのアーサナでケガをする理由(心の持ち方)

  • 無理をしすぎる。それが必要だと思っている
  • ポーズの完成を目指している。またはできる人と比べてしまう。
  • 自分のリソースを知らない。自分の体のことを知らなかったり、備わっている能力を無視している。

 

私たちの体はいろいろな代謝が起こっています。
その能力を知って、信じて、感じながら実践することでポーズは徐々に変化します。そういう心構えで行うと、自然に自分自身の素晴らしさに気づいて感謝が生まれてきます。

『なんて自分は素晴らしい機能を持っているんだろう』

楽しみながら気持ちよく実践してみてください。