筋トレやヨガの効果を高めるために知っておきたいこと【サイズの原理】

サイズの原理とは

筋肉が働くときに、遅筋(運動単位の小さい筋)から働きはじめますよ!という原理です。

一つの運動ニューロンが支配する筋のグループを『運動単位』と言います。

弱い力を発揮するときには、一つの運動単位だけを働かせて筋肉を収縮させていきます。

一つから二つの運動単位、
二つから三つの運動単位、というように
順番に運動単位を増やしていくことで、大きな力を発揮していきます。
運動単位を増やすことによって、力を調節しているんです。

そして、筋肉の張力を徐々に上げていこうとするときには、
同じ運動単位でも、運動ニューロンの小さい方から順番に動員されます。
これを「サイズの原理」と言います。

運動ニューロンが支配する筋線維の数が少ない筋(運動ニューロンが小さい筋)は微細な調整ができます。主に遅筋
筋線維の数が多い筋(運動ニューロンが大きい筋)は大きな張力を発揮します。大臀筋など大きな筋肉、主に速筋

つまり、
普通は弱い筋張力から運動が始まるので、
遅筋を支配する運動単位から動員されます。

大きな力を発揮するにしたがって、
速筋を支配する運動単位が徐々に動員されていくことになります。

 

サイズの原理によって筋力の調整がうまく行われている

筋肉には、効率的に働いてくれる画期的な原則があります。

例えば、
軽いものを持つときに100パーセントの力を使う必要はありません。

軽い負荷の時は、運動単位の小さい筋線維だけで十分です。
運動単位の大きい筋線維はお休みしているんですね。
(余分なエネルギーは使わないようになっています)

これは軽い負荷の運動をする時に
『運動単位全てが同時に少しずつ働く』のではなく、

『小さい運動単位の筋線維から働き始めて、それでも足りなければ、大きい運動単位の筋線維が順番に動員されていく』
ということです。

非常に効率的ですね。

 

筋トレを効果的に行うには

筋力トレーニングの主な目的は、筋肉を太くして「見た目がマッチョ」「力が強くなる」ことです。
筋力を強くすることを目標とする時は『サイズの原理の例外』を応用すると効果的です。

(ちなみに筋力訓練をしても『遅筋』はそれほど太くなりません。『速筋』は肥大して太くなります)

 

1.  ある程度の負荷で筋トレをする(速筋が働くには最大筋力の50%)

軽い負荷だと遅筋が優位に働いてしまいます。遅筋で十分なので。
速筋が働くくらい(最大筋力の最低でも65%以上)の負荷が必要です。

 

2. 伸張性運動をする

錘を持って(抵抗をかけて)関節を伸ばしながら運動します。
筋肉が急激に伸ばされたり、関節に負担がかからないようにしたいので、速筋が働きやすくなります。
自分を守る能力を利用します。

 

3. 瞬間的な速い動きをする

速い動きをする時は一気に力を出す必要があります。
急激に速く、大きな筋収縮が必要になるので、遅筋から働いていると効率が悪いです。
なので、速く動くような運動は『速筋』が鍛えられます。
その代わり、すぐに疲れます。

 

4. 加圧トレーニングをする

強制的に酸素不足の状況を作って、収縮に酸素を必要としない『速筋』を働かせます。

 

ポイント
スポーツやボディービルなどは筋力(速筋)が求められます。
筋力訓練はサイズの原理の例外を利用して行った方が有効です。

ですが、
遅筋も働かないと、運動のパフォーマンスが向上しにくかったり、関節のスムーズな動きや連動を阻害して怪我をしやすかったりします。

もともと瞬発的な力を出す能力が高い人、
すごく力持ちで、身体の土台が崩れながらも、力でなんでもできてしまう人もいます。
速筋が優位すぎると、体を支える土台の部分が耐えられず、痛めてしまう場合もあるので、
遅筋も整えて、土台を安定させた上で、運動をしましょう。

『速筋』を鍛えたい場合でも、本来はサイズの原理が基本にあることを理解しておいてください。
バランスを取ることは大事です!

 

ヨガを効果的に行うには

ヨガでポーズをとることを『アーサナ』と言います。
『アーサナ』は『姿勢』と言う意味です。

ヨガでは ”速くて強い筋力” をつけることが目的ではありません。

前後左右のバランスをとって、余計な緊張をしないで、長い時間姿勢を保つ(瞑想の姿勢を身体に負担なく保つ)ために、身体を整えます。

強いて言えば『ノーストレスな身体作り』が目標です。

筋肉で言えば、
『遅筋』を整えて、アライメントを調整し、身体を支えることできる体を作ることが目的です。

 

〜サイズの原理を利用して、ヨガを効率的に行うには〜

1.  小さな筋収縮も大事にする

サイズの原理で考えると、最初は運動単位の小さい筋線維(遅筋)から働き始めます。
できるだけ最初の微弱な収縮も感じて行えるように意識をします。
ゆっくりと収縮を味わうような気持ちで行う方が有効です。

 

2.  呼吸をする

遅筋が十分に働くには酸素が必要です。
常に呼吸を止めないで、呼吸を意識しながら行うことで、十分な酸素が血液に行きわたるようになります。
その酸素は筋肉にも行き届きやすくなり、遅筋が効率良く働いてくれます。

 

3. 次のポーズに移る時も丁寧にゆっくりと動作をする

アーサナを連続する「ヴィンヤサ」も、サイズの原理に従って行います。

小さい運動単位から
→少しずつ順番に大きい運動単位が動員される
→大きい運動単位となるようにします。

そして、また次の動作でも小さい運動単位から動員されるように連続していきましょう。

神経の電気信号も、筋線維の収縮の順番も、
全部が滑らかに流れて、遅筋から効果的に鍛えられます。
滑らかで、きれいな動きになるでしょう。

 

4. 必要以上に力む必要はない 小さな筋収縮も大事にする

どこか1箇所に力が入るのは良くありません。
例えば1箇所が90%、他が1%×10箇所とならないようにしましょう。
満遍なく身体全体でポーズをとります。

何かの姿勢をとると、その時点で必ず『遅筋』が働いています。(力が入っていると感じなくても)
そのことを理解して、きれいにポーズをとるように意識しましょう。

 

ポイント
最初は優しく動き始めることが大事です。
そして、その動き始めにも意識を向けること。

優しい動きでも、遅筋から働き始めているということを知っていれば、意味のあることだと認識できます。

・忙しく働いている(緊張状態がいつも続いている)
・体を動かす機会が少なくて体が硬い(遅筋が硬い)

そういった方は、普段の生活であっても、
『サイズの原理』が働きにくい体の環境になっています。

ヨガはオススメです!

エネルギー効率の良い『遅筋』を働きやすく整えることで、疲れにくい体を目指しましょう!

 

サイズの原理にも例外はある

すごく機能的な『サイズの原理』なのですが、
それが働かない例外もあります。

1.  伸張性運動のとき
伸張性運動(伸張性収縮)とは、筋肉が伸びながら働くときのことをいいます。

負荷がかかりながら、筋肉が伸びていくというのは、本来筋肉にとって怖いことです。
なぜなら、負荷で筋肉が急激に伸ばされて、筋肉が切れてしまっては困ります。
それは避けたいんです。

なので、伸ばされながら収縮する時は、急に伸びてダメージになるのを避けるために、ブレーキをかけながら運動します。
何かあった時すぐに対処できるように、出せる力が強くて、スピードの速い『速筋』が優位に働きます。

短縮性運動(短くなりながら働くとき)は、筋肉が短くなる方に向かっていくため、筋肉が切れてしまうようなリスクは少ない。
筋肉は『遅筋』から働いても安心なので、本来の”サイズの原理”通りになります。

 

2. 瞬間的に力を出すとき

「大きな力を使う動き」「速い動き」の時は、
運動単位が順番に動員される余裕がありません。
一気に力を出さないといけない時には、『速筋』が優位に働きます。

『遅筋』は本来、体を支えるためであったり、細かく収縮して身体のバランスを取ろうと働いてくれるようにできているので、急速な運動は苦手です。

例えば、
バーベルを持ち上げる時に、一気に急激に力を最大限に働かせる必要があります。
こういった運動はサイズの原理の例外です。
『速筋』が動員されます。

 

3. 酸素が少ないとき
これは加圧トレーニングで使う原理なのですが、加圧して血流を抑えることで、筋肉に酸素が行き届かなくなります。
酸素を使ってゆっくりと長時間働く『遅筋』が働けなくて、
酸素がなくても働ける『速筋』が動員されやすくなります。

 

 

・筋力をつける
・スポーツで瞬発的な動きをする
・マッチョになる

には、「サイズの原理の例外」である、負荷をかけた筋力訓練や速い運動が有効です。

体を動かす際は覚えておいてくださいね。

 

「サイズの原理」を理解して運動を効率よく行いましょう!