タダアーサナ【サマスティティ】
ヨガの基本的な立ちポーズ、タダアーサナ。
立って行うすべてのポーズの基になります。
このポーズは自分のフラットな姿勢、楽な位置をとことん極めていくポーズです。
最終的には力を必要とせず、自分の中心に静止することを目指します。
ターダとは「山」
サマは「直立」「まっすぐ」「不動」
スティティは「不動の姿勢」を意味します。
山のように不動であり、まっすぐに直立するポーズという意味になります。
タダアーサナはどんな効果があるの?
タダアーサナ、シャバアーサナは、自分がニュートラルになるポーズです。
古典的なヨガでは、ポーズをひとつとった後に毎回タダアーサナ、シャバアーサナをとります。
「ポーズをとった後に何が変わったのか?」
「ポーズの前と後で何を感じるか?」
「バランスの変化はあるか?』
など、自分の状態を確認するポーズでもあります。
ふだんは自分の立ち方や姿勢は意識しないですよね。
でも人の姿勢はさまざまで、片足に体重をかけている人もいれば、少し前屈みな人もいます。
まちがった立ち方、重心の位置、かたよった体重のかけ方は、身体の歪みになって背骨のしなやかさ を失わせます。
そうなると、からだのたるみや筋力低下、背骨の過剰な緊張状態がつづき、心身ともに疲労してしまいます。意識もクリアになりません。
正しく立つことで、体も心も整います。
タダアーサナでニュートラルな状態でリラックスすることで、ポーズの効果が全身に行き渡り、新たなバランスへのシフトすることを学びます。細胞一つ一つの質が変化していきます。
タダアーサナは、全体として一つという感覚、中心で落ち着くという感覚、静かな中に活力を感じるポーズです。
チャレンジしてみましょう。
最高のバランスポーズ 【タダアーサナ】
ただ立っているだけの簡単なポーズと思われがちですが、実は奥深いポーズでもあります。
不動に直立し、中心のバランスに静かに落ち着くことは、実はとても難しいんです。
身体的には、骨格が本当にバランスよく中心にとどまる状態を作ることは簡単ではなく、いろいろなポーズをとりながら探していくことになります。
長年かけて確立された「姿勢」は、体に定着して癖づいているので、自己修正が難しいポーズなんです。
本来のまっすぐな位置からずれていることも多いのですが、そのことになかなか気づきません。
精神的にも、静かに落ち着いて、リラックスしながら中心に止まります。
タダアーサナのアライメント(理想的な位置)
正面から見ると、
足の親指の間、恥骨、胸の中心、鼻先が一直線に並んだ姿勢。
横から見ると、
下図のオレンジの●が一直線に並んだ位置が理想的な位置です。
しかし理想的な位置に無理に合わせようとすると、過剰な努力になってしまうかもしれません。
過剰な努力は、過剰な緊張となります。
まずは体の感覚に注目しましょう。
積木をキレイに積み上げるように意識をして、自分の整う力に任せてみましょう。
まめ知識
関節は重力に対して進化。適切な重さがかかると関節面は反発しあい、スムーズに可動するようになります。正しい位置に収まろうとします。
関節の中には水分があって、関節面が触れ合うことなく、浮いているような状態です。(水風船を押したようなイメージ)
まっすぐに骨格を乗せよう
背筋をピンと伸ばして立つより、崩れた姿勢の方が楽ではないか?と思うかもしれませんが、そうではありません。
筋肉は楽でも関節や構造に負担(重さ)がかかります。
わずかな重心のズレは身体のゆがみになります。長い時間構造に負担がかかると、脊椎の弾力が失われてしまいます。
腰痛や肩こりの原因になっていることもあります。
タダアーサナは重力に対して体の構造を乗せてリラックスし、不動でいられることが理想のポーズです。
自分の中心に落ち着いて、安定と安心の中に静けさと力強さを感じます。
タダアーサナで働く筋肉
バランスとアライメントが安定して、筋力はほとんど使わずにポーズをとることが理想です。
とはいっても最低限働くであろう筋肉があります。
抗重力筋というインナーマッスルです。できれば、本当に最深部の筋肉だけでポーズをとることが理想です。
【タダアーサナで働く筋肉】
(人によって骨格の違いがあるので一概には言えませんが)
・頸部伸筋群
・脊柱起立筋群
・ハムストリングス
・ヒラメ筋
バランスをとるポーズでは遅筋(ちきん)繊維が最小限に働きます。(強く働くわけではない)
遅筋繊維は、姿勢を保つ、関節を支える、バランスを保つ時に働く筋肉です。
理想的にはもっともっと深部の筋肉だけでポーズをとれるようになりたいです。
少しでもバランスが崩れるとそれを支えるために筋肉が過剰に働いていて硬くなります。
その筋肉の硬さをどんどん少なくしていきます。
タダアーサナのやり方
1. 足先をそろえてまっすぐに立ちます。
両足の親指をくっつけて、かかとはわずかに開きます。小指側が平行になります。
足の裏全体に体重を満遍なくかけるようにします。
(足指を持ち上げて開いて、床に置くと足の裏全体が伸びます)
2. 膝は伸ばしすぎず、わずかに膝のお皿を持ち上げように意識をします。
同時にお尻もほんのわずかに閉めるようにます。
(少しの時間下半身の安定、バランスを意識していましょう。上半身はこの時点では多少傾いてもOK。下半身が落ち着いて安定することを確かめます。前後、左右に小さく揺れて、真ん中を確かめるやり方もあります)
3. お腹は緩めずに、少し引き締めます。
頭のてっぺんを気持ちよく天井に引き上げて、足の裏で床を少しだけ押して、骨盤の真上に頭を積み木のように乗せてバランスをとります。
顎を楽に引いて目線は真っ正面。視点は合わせません。
(姿勢を良くしようと後ろに反るように力んでしまうと、緊張し深く呼吸することができません。背骨は長く、乗せるように意識します)
4. 肺は首の付け根まであります。
下腹部から首の付け根まで満遍なく気持ちよく呼吸をします。
● ポイント・身体への意識
わずかに足の裏で地面を遠ざけるように押すと、反発する力で頭のてっぺんが持ち上がるように感じられます。
足の裏を押した力が頭のてっぺんに抜ける感覚。全体が1つになっていることを意識しましょう。
部分的な修正はわずかずつ行います。
いずれその努力も手放すようにします。
一番はリラックスをしていること、自然でいること。
本当にリラックスできる位置に自分を置くことが大事です。
● ポイント・呼吸への意識
呼吸をするとき体がどう動くか感じます。
呼吸のたびに体の中心が楽になり、広がるのを感じましょう。
足の裏から呼吸を吸って頭のてっぺんまで身体中を満たすように吸い上げたら、足の裏から大地へと返すようにします。
自分に集中してポーズを深めてみてください。
タダアーサナはいつやるの?
このポーズはポーズのはじまる前に、自分の状態を確認するポーズです。
静かになって、呼吸を整えて、落ち着いたなーという感覚がやってきたらヨガのシークエンスに入ります。
そして、シークエンスの途中でもこのポーズで落ち着きます。
他のポーズが身体に浸透してなじむのを助け、自然におこっている身体の流れや変化を観察しやすいからです。
軽視されがちですが正しく立つための最も基本的なポーズです。