姿勢を支えるインナーマッスル「抗重力筋」を鍛えるための2つポイント

立っている姿勢だけで、しなやかな感じ、自信がある感じ、いろいろなことが伝わってきますよね。
その姿勢を支えるベースになる筋肉を抗重力筋といいます。

抗重力筋をうまく鍛えることで、立っている姿勢が安定して、しなやかさ、快適さのベースを作ることができます。
姿勢が変わると不思議と心も変わってきます。
自信が出てきたり、ポジティブな気持ちになったり。

体と心って切り離せません。

抗重力筋とは

抗重力筋とは、重力に対して体を支えている筋肉のこと。
主にインナーマッスルです。

私たちは常に重力の影響を受けています。
ボールを持って手を離すと下に落ちてしまいます。体にも一緒のことが働いています。

筋肉がいっさい働いていなければ、立っていることができずに地面に倒れてしまします。
人が立って活動するためには、重力に対して姿勢を保たなくてはいけません。
そこで、働くのが「抗重力筋 」です。

 

抗重力筋はうしろにある

抗重力筋は、運動するときに力強く働く筋肉ではありません。
緊張と弛緩を細かく繰り返しながら、持続的に緊張を保って働いています。
意識をしなくても自然に働いてるので、普段はあまり気にしないかもしれません。

研究する人によって、抗重力筋とみなす筋肉は、微妙に違うようですが、
主要姿勢筋と呼ばれている筋肉は4つあります。

1.  頸部伸筋群
2.  脊柱起立筋群
3.  ハムストリングス
4.  ヒラメ筋

この4つを見てみると、全て身体の背面にあることがわかります。
立位姿勢を保つためには身体の後ろ側の筋肉を主体に使っているんです。

立った時の姿勢によって抗重力筋の働き方は違う

背骨がまっすぐな人、前かがみの人、腰が丸い人、姿勢には人それぞれ特徴がありますよね。

人それぞれ体の形や筋肉の質が違うので、その人の姿勢によって、抗重力筋の働き方も違ってきます。

姿勢がいいの場合

例えば、
姿勢のバランスがとても良い人は、骨格がきれいに乗っています。
ヤジロベーのようにバランスがとれるので、抗重力筋の活動も必要最小限になります。
気持ちよく揺れながらバランスをとって、抗重力筋は収縮と弛緩を繰り返し、しなやかさを保ちやすいです。(これはある意味理想的な状態です)

フィギアスケートの選手やスノーボードの選手を見ていると、しなやかでキレイな動きをしていますよね。
体を支えるための筋肉がしなやかに動いて全ての部分が連動しています。
姿勢がいいと体を支えるためではなく、しなやかに動くために筋肉が働くことができます。

骨格がバランスよくきれいに乗っていることは、パフォーマンスがよくなる要因になっています。

姿勢がよくない場合

反対に、
デスクワークが長くて前かがみの姿勢が多い人や、姿勢のバランスが良くない場合は、傾いた姿勢を筋肉で維持する必要が出てきます。

頭はだいたい5〜7kgあるので、その重さを骨格ではなく、筋肉が支えることになります。
すると、首や背中の筋肉は常に緊張状態が続いてしまう。
筋肉はいつも収縮して硬い状態を強いられます。
それが筋肉の凝りにつながり、ゆくゆくはリラックスすることを忘れてしまいます。

そして、硬くなってしまった部分は、動かなくなってしまうので「ここは動くんだ」という感覚すら忘れていきます。
そうなると、運動のしなやかさが失われたり、動く部分に過剰な負担がかかることになります。

 

抗重力筋の特徴

抗重力筋の特徴を、筋肉の性質から考えてみます。

筋肉の線維(遅筋と速筋)について詳しくはコチラ

抗重力筋は運動するための筋肉ではなく、体を支えるための筋肉です。
鍛えるためには『支える力』をつけていく必要があります。

まずは支えるための筋肉『遅筋線維』の特徴を知ってみます。

遅筋線維の特徴

・パワーは小さい
・そのかわり疲労しにくい
・持続的に長時間パワーを出せる

鍛え方
・小さな負荷で運動する(軽いウェイトで)
・持続的にパワーを出す(回数を多く)

有酸素運動が効果的 〜 ジョギングや水泳など

速筋線維の特徴

速筋の特徴は逆
・出力できるパワーは大きい
・そのかわり疲労しやすい
・1回、2回行うとパフォーマンスが落ちる

鍛え方
・最大金出力の60パーセント以上で運動する(強い負荷をかける)
・瞬間的に力をだす(回数が多くできない)

無酸素運動が効果的 〜ウェイトリフティングやダッシュなど

このように、遅筋線維とと速筋線維の特徴は違います。
そして、抗重力筋は遅筋線維の働き方だということがわかります。
出力できるパワーは少なくても良いですが、持続的で、長時間働き続ける必要があります。

抗重力筋の鍛え方を考える ポイントは2つ

筋肉の性質や特徴から、どうすれば抗重力筋を整えていけるのか。

遅筋線維の特徴からポイントは2つ!

  1. パワーは小さい
  2. 持続的に長時間

抗重力筋を良い状態に保つには、この2つのポイントを意識してを運動することがオススメです。

 

抗重力筋を鍛えるコツ

自宅でも簡単に主要姿勢筋を鍛える方法をご紹介します。
先ほどから書いていることでもあるのですが、なかなか実践が難しいのが、『パワーを小さく』ということです。

『鍛える=強く』ではありません!

わかっていてもこれがなかなかできないんです。

目安として、
「辛くない」「効いてるの?」というくらいの強さで、1分以上続けてみます。
おそらく1分以上続ける意識で行うと、後半になって効いていることがわかってくるはず。

練習方法

ヒラメ筋のトレーニング

ヒラメ筋はふくらはぎにある筋肉ですが、つま先立ちをするための役割ではありません。
立っている時にスネの骨を支えます。
遅筋線維の割合がとても高いのが特徴です。

〜ヒラメ筋のトレーニング〜

  1. 自分にとって一番いいなーと思うバランスのとれた姿勢になります。
  2. 膝と股関節をわずかに曲げてゆるめます。
  3. かかとをわずかに浮かせてその姿勢をキープします。
  4. 足のスタンスを変えて同じように練習してみます。横に少し開いく。足を前後に開くなど、、

背中が丸くならないようにします。
ヒラメ筋は膝を曲げても働く筋肉なので、膝は曲げてもいいです。

 

脊柱起立筋群のトレーニング

脊柱起立筋は”群”です。小さな筋肉の集まりです。
骨盤から頭部まで、背骨から背骨、背骨から肋骨に付着していきます。
まとまって鍛える背筋への意識ではなく、1つ1つの筋肉をを時間をかけて整えていくことをお勧めします。

  1. 股関節から楽に骨盤を前へ倒します。机か壁に手を当てて、上半身を支えます。
  2. 息を吐いてお腹を締めます。(意識してへこませます)
  3. 呼吸を開始してもお腹を締めたまま保ちます(少しゆるんでもOKです)
  4. 脊柱起立筋を収縮させて背骨を伸ばします。少し丸めてまた伸ばす、を繰り返します。

フォーカスする部分を少しずらして行います。
背骨は長いので、上から下までいろいろな部分で行えます。

 

練習した後は良い姿勢で立ってみて、Befor .Afterを比較してみます。

これは一部の例ですが、体を支えるインナーマッスル(抗重力筋)の鍛え方のコツを覚えてみてください。
遅筋のトレーニングなので、こつこつ続けることがポイントです。