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前脛骨筋の特徴と作用【効果的な筋トレとストレッチ方法】歩く、走る時に働く筋肉

前脛骨筋とは

前脛骨筋はスネの前側にある筋肉です。
膝の下では、スネの真ん中よりも外側(脛骨の外側)には筋肉があります。
これが前脛骨筋です。
内側はすぐ骨(脛骨)になっています。

英語では【tibialis anterior muscle】
tibialis=脛骨の
anterior=前側 
という意味です。

前脛骨筋は、歩く、走る時に重要な役目を果たします。
今回はその特徴や作用、筋トレをする時の効果的なトレーニングの仕方、ストレッチ方法をご紹介したいと思います。

人が立って活動する時には必ずと言っていいほど働く筋肉。
意外に重要な働きをしています。

前脛骨筋の特徴

ふくらはぎには、大きな筋肉、腓腹筋・ヒラメ筋があります。
そして、ふくらはぎの深層には、後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋が、インナーマッスルとしてあります。

しかし、前側には腓腹筋、ヒラメ筋のような大きな筋肉はありません。
足首を持ち上げる(背屈する)方向には、前脛骨筋と、足趾の伸筋(長母趾伸筋、長趾伸筋)しかないんです。

そのため、足首を伸ばす筋肉(底屈)に対して、持ち上げる筋肉(背屈)は、数も少ないし力も弱いです。

ジャンプしたり、強く蹴る時は底屈運動なので、腓腹筋、ヒラメ筋など大きな筋肉が働きます。
前側の筋肉はそれを制御する側(拮抗する筋肉)になります。
なので、意外と走った後にスネの筋肉が凝り固まったように感じることもあるのは、前脛骨筋が制御したり拮抗するために常に働いているからです。

前脛骨筋は、足首を背屈方向に持ち上げるため、底屈方向への動きを制御するために、スネの前側で一番活躍する筋肉です。

脛骨の外側から足部の内側に少し斜めに走行しているのも特徴です。
脛骨の外側に沿って走行し、長く厚みのある筋肉なので、すぐに触れます。

起始と停止

起始:脛骨外側顆、脛骨体、骨間膜
停止:第1中足骨の足底面、内側楔状骨の底側

神経支配

深腓骨神経 ー L4ーS1

前脛骨筋の働き

前脛骨筋の作用は、足部の『背屈』『内反』の動き、それと足底のアーチを維持することです。
そして、とても重要なことは、歩行時にスムーズな足部関節の動き表現するために反対方向への動きに対して制御作用として働くことです。

①足首の背屈
②足部の内反
③足底のアーチを維持する
④歩行時に反対側の動きに対しての制御作用(反対側の動きとは底屈方向への動きです)

内側のアーチ(土踏まず)を維持するために働き、内反の動きをします。
後脛骨筋とは『内反』に対しては協力して働きます。
この時、長腓骨筋や短腓骨筋が主な拮抗筋になります。

しかし、後脛骨筋と『底屈』『背屈』では拮抗して働きます。
様々な動きに対して、いろいろな筋肉が協力と制御を繰り返しながら、運動が成り立っているのがわかります。

 

前脛骨筋の作用

距腿関節の『背屈作用』

前脛骨筋が収縮すると、つま先を持ち上げる方向に足首が動きます。
立っている時は下腿側を足背に近づけます。
これはスポーツで屈むような運動(スキーなど)や急いで歩く時の動きです。

足の内側を挙げる:内反(回外)

前脛骨筋は、横足根関節に作用し、内反の運動をさせます。
停止部が足の内側の足底面側にあるので、全体として内反という動きをします。
反対に言えば、外反(回外運動)を制御しているということです。

足部の内側縦アーチ挙上作用、横アーチにも作用する

第1中足骨と内側楔状骨に付着する前脛骨筋。
ここの関節(第一足根中足関節)は、中足部の横アーチと内側縦アーチが交差している部分です。中足骨にも作用しているため、前足部の内反と外反にも作用しています。
前脛骨筋の緊張は、内側縦アーチが下降するのを制御します。

歩行の時に足部の運動を制御する

歩行で踵を接地すると、足首(距腿関節)は受動的に底屈をします。
その時、急に”バタンッ”と行かないようにスネの前面にある背屈筋(前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋)が、遠心性収縮をしながら前足部を制御します。
足部の底屈運動を減速させるわけです。(その時背屈筋群はとても強く働きます)

前脛骨筋はさらに距骨下関節と横足根関節の内反を維持します。(踵を接地するときに足部は内反をとっているため、靴は踵の外側が減っていることが多いんです)
距骨下関節は、踵を接地した時は内反しているのですが、そこから外反してきます。
急にそうならないように制御するのが前脛骨筋です。

その後足の裏全体の接地となり、下腿は前方に倒れ始めます。
前方に倒れる角度が大きくなると、前脛骨筋の作用が始まります。
足関節の背屈に作用するとともに、第一趾列の背屈にも作用します。

足を振り上げている時はつま先が床に引っかからないように足部を背屈方向へ持ち上げます。
この動きは床から足を持ち上げた直後と、床に足を接地する手前で強く働き足部をコントロールします。そんな動きは意識をしていないですよね。無意識にコントロールしています。

前脛骨筋の動きは無意識でコントロールされた動きが多いです。
姿勢、運動を制御するための役割が大きい。
アーチの形成維持と、歩行の時に作用するのは無意識での作用です。
なので遅筋線維が多いのも特徴です。

 

前脛骨筋の筋力トレーニング

前脛骨筋は上記の作用からもわかるように、歩行中に無意識に働いてくれていたり、微細に収縮して活躍してくれています。
トレーニングも負荷をかけて筋力訓練をするというよりも、筋肉の場所を理解して、微細な収縮を感じ取っていくようなイメージで練習をします。
特に初めて運動する時は低負荷から始めることがオススメです。

ふくらはぎの筋肉が緊張していると、前脛骨筋も過剰に収縮しないといけなくなるので、運動前はアキレス腱を伸ばす運動など、ふくらはぎをストレッチすると良いです。

うまく実施できると全身の骨格がバランスを取り直す方向へシフトし始めます。

座って背屈運動(シーテッド・トゥーレイズ)

1、椅子に腰掛けます
2、踵を床につけたまま、つま先を持ち上げます。(背屈する)
*前脛骨筋だけを収縮させるためには足趾は反らさないで力を入れません。
3、大きな負荷ではないため、30回から50回、それ以上実施してもいいです。左右両方実施します。

座って背屈運動

1、椅子に腰掛けます
2、膝を伸ばして伸展しながら、つま先を持ち上げます。(背屈する)
*前脛骨筋だけを収縮させるためには足趾を反らさないで行います。
3、30回から50回実施します。左右両方実施します。

立って背屈運動(スタンディング・トゥーレイズ)

前脛骨筋の運動に少し慣れてきたら、立って行ってみましょう。
1、立ってつま先を持ち上げる(背屈する)
2、そのまま数秒キープする(アイソメトリック運動)、または30回程度続けます。
*バランスを崩さないように注意する。できればすぐに安定したものに掴まれると安心。

立って背屈運動(壁を使った方法)

1、壁に背中をつけて立ちます。
2、つま先を持ち上げます。(背屈する)
3、そのまま数秒キープする(アイソメトリック運動)、または30回程度続けます。

セラバンドを使った背屈運動

1、セラバンドを柱か何かに固定するか、パートナーに持ってもらって、足の甲にかけます。
2、セラバンドで負荷をかけながら背屈運動を行います。
3、20回から30回程度実施。左右両方実施します。

ランニング、ウォーキング

背屈運動のトレーニングをした後に、ランニングかウォーキングを行います。
前脛骨筋が活性化されている状態で、トレーニング効果を身体に馴染ませるためにも役立ちます。

 

前脛骨筋のストレッチ

椅子に座ってストレッチ

1、椅子に腰掛けます
2、片方の足をもう片方の足にかけて、脛と足背を手で持ちます。
3、脛の前側が伸びるように足部を底屈させます。
*できれば30秒以上行います。

正座してストレッチ

1、正座のように腰かけて、お尻の横または後ろに手をつきます。
2、上下に上体を持ち上げたり緩めたりしながら、ゆっくりと後ろの方へ体を倒していきます。
3、膝や足首に負担がかからないように、手で体重を支えることを補助しながら、上下の運動を繰り返して、ある程度伸びたところで止まります。そのまま30秒程度キープします。(床に上半身が寝そべってしまったら、そのまま30秒ほどキープします)

運動のコツ

前脛骨筋は足部を背屈させる筋肉です。足趾の伸展と一緒に運動が起こることが多いです。
でもそれだと、足趾の伸筋が働いているのか、前脛骨筋が働いているのか割合がわからなくなります。
足趾は伸展させないで、足首の背屈運動を行ってみてください。
それだけでも十分に負荷がかかります。足部のコントロールの練習にもなります。

遅筋線維が比較的多い筋肉なので、微細な収縮運動から始めるだけでも十分訓練として成り立ちます。
意識を集中して、丁寧に実践することが大事!

まとめ

脛の前側にある筋肉のトレーニングは扁平足、捻挫の癖がある人、膝が不安定又はO脚の人などにも有効です。
一見関係なさそうに感じるかもしれませんが、足部の形や足の器用さ、歩行時の足部の制御に関係してきます。

前脛骨筋のトレーニング前には、アキレス腱を伸ばすようなストレッチで、前脛骨筋が働きやすい環境を整えてから実践してみるのも良いです。

また、前脛骨筋のトレーニングの後に、つま先立ち(カーフレイズ)でふくらはぎを筋力トレーニング、アキレス腱を伸ばす運動でふくらはぎをストレッチすることも下腿全体をバランスよく鍛えるためにオススメです。