ヒラメ筋の特徴とトレーニング方法

ヒラメ筋とは

ヒラメ筋はふくらはぎにある筋肉です。表面からはあまり見えません。
腓腹筋が表面にボコッとあって、その奥にヒラメ筋は薄っぺらくあります。

ヒラメ筋は立っているとき、運動する時に身体を支える筋肉です。

「陰ながら支える」という言葉がぴったりの筋肉です。
大きさは腓腹筋の約2倍あります。

 

ヒラメ筋は足首の単関節筋になります。(支える)

 

腓腹筋は、足首と膝をまたぐ2関節筋です。(運動する)

上の図にある通り、ヒラメ筋と腓腹筋は、膝の関節をまたいでいるか、いないか、の違いがあります。
ヒラメ筋と腓腹筋は、お互いに協力しあって「走る」「ジャンプをする」ときに共同で働きます。

 

違う形状の2つの筋肉が、1つのアキレス腱で合流します。

役割が違う筋肉なので、筋トレの方法が違います。

 

 

ヒラメ筋は膝が伸びたときも、屈曲した時も底屈運動に大きく貢献しますが(※①)、(単関節筋なので、膝はあまり関係ありません)

腓腹筋は膝を曲げると底屈運動には作用しにくくなります(※②)。
膝の屈曲で筋肉がゆるむからです。

 

ということは、膝を曲げながらの運動(スノーボードやサーフィンなど)で、スネを支えながら足首をコントロールするとき、
ヒラメ筋は膝を曲げたときもスネを支えてるので、重要な役割を果たしていることになります。
腓腹筋は膝を曲げるとゆるむので、作用しにくい!

 

ヒラメ筋の主な役割

・下腿(膝から足首までの部分)が前に倒れないように支える。膝を曲げた時も支える。

・膝を曲げながら、つま先立ちになる時にも働く。

・つま先立ちになった時にバランスをとるために働く。

など。

 

ヒラメ筋の形状と強さの秘密

起始 →   腓骨頭、脛骨内側縁、ヒラメ筋線、ヒラメ筋腱弓
→    アキレス腱になる

停止 →   踵骨隆起

形状 →  羽状筋

筋肉がどこに付いているかを意識しながら運動すると、効果はアップします。

詳しくはこちら →   意識性の原理

 

ヒラメ筋は、大臀筋(お尻の筋肉)やハムストリングス(太ももの裏の筋肉)に比べて大きさは小さいですが、発揮する力は強いです。

筋肉の収縮の強さは、大きさにだいたい比例するのですが、ヒラメ筋に関しては別。

その理由は筋肉の形状にあります。

 

ヒラメ筋の形状は
「羽状筋(うじょうきん)」といって、中央の腱から短い筋繊維が、羽のように斜めに走行しています。

羽状筋は筋線維が短いので収縮速度は遅いけど、強い収縮力を発揮できる性質を持っています。

 

ヒラメ筋の特徴

ヒラメ筋は80〜90パーセントが遅筋(ちきん)線維です。

意識的に動かせる筋肉のなかで、遅筋線維の割合がこんなに多い筋肉はありません。
(意識的に動かせない筋肉は、主に心筋や内臓筋など)

 

遅筋線維
「バランスをとる」「支える」ことが得意です。

 

ヒラメ筋の特徴

・「バランスをとる」「支える」が得意

・使わないでいると筋力が落ちる、というよりも、萎縮する(衰えて縮こまる)

・使いすぎると硬くなる

・脂肪燃焼効果が高いため、鍛えるとダイエットにいい

 

立っている間がんばってくれている筋肉ヒラメ筋。
ずーっと働いてるため、硬くなりやすいのでストレッチは重要です。
アキレス腱を伸ばしましょう!


この時ヒザを軽く曲げて行うといいです。

テーブルや壁などに手をついて、リラックスして行いましょう。

 

筋トレの仕方は、記事後半に続きます。

 

 

ヒラメ筋を鍛える3つの効果

立って行う運動が安定する

スポーツ全般の下半身の安定になります。
膝を曲げても伸ばしても下腿が安定することに貢献。

特に膝を曲げたまま体を支え、足首の繊細なコントロールをする運動(スノーボードやサーフィンなど)には重要です。

 

代謝が良くなる

ふくらはぎの筋肉は、下りてきた血液を心臓の方へ戻す役割をしています。
血液循環が良くなり、血圧の安定やむくみの減少にもつながります。

また、遅筋線維は脂肪燃焼効果が高いので、鍛えると脂肪がつきにくくなります。ダイエットに。

 

上半身が安定 肩こりや腰痛の予防に!

立っている土台が安定すると、他の筋肉に余計な緊張がかからない状態になります。

すると体の表面にある筋肉(速筋)は、必要時に力を発揮しやすくなり、瞬発的に働くことが可能になります。

立っているときは上半身の力も抜けやすくなり、肩こりや腰痛の軽減などに繋がります。

 

 

ヒラメ筋の筋トレ方法

ヒラメ筋は遅筋線維が非常に多い筋肉なので、遅筋線維特有の筋トレ方法が効果的です。

 

● 立位で膝を曲げたまま、踵を持ち上げる

膝を曲げます。
(膝を曲げることで腓腹筋が働かなくなり、ヒラメ筋の活動になります)

徐々に力を入れて、ヒラメ筋に力が入っていることを感じます

 

踵を持ち上げます。

踵が持ち上がるか持ち上がらないかくらいでもOK。
遅筋線維は小さな負荷で活動するので、わずかに収縮(動いてる)くらいでもOKです。

慣れてきたら強く収縮させます。(踵を高く上げる)


壁に手を当てて行ってもOKです。

 

〜他バリエーション〜
バリエーション1;足の横幅を変えたり、多少前後にしたり、足の位置を調整する。

バリエーション2; 踵を持ち上げてキープ

 

 

※NG例


このようにやりがちなので注意です。
こちらはヒラメ筋が収縮することで踵が持ち上がってるのではなく、ヒザや腰を動かして踵を上げている。

かかとを持ち上げるときに、足首の動きをとヒラメ筋のギュッと収縮する感覚を意識します。

 

 

● ランジ

①  片足を前に出して、片足を後ろに置いて準備をします。

②  前側に出した方の足を90度よりも浅く曲げて、踵を持ち上げます。

③  片足20〜50回ほど実施します。

 

<ポイント>

ヒラメ筋は『羽状筋』という形。筋肉の走行が斜めに広がります。
広がって収縮していることを意識すると、より効果がアップします。

 

まとめ

ヒラメ筋は身体を支えるために重要な役目を果たします。

遅筋線維が多い筋肉なので、回数を多めに運動するかキープするのが効果的です。
時間をかけて丁寧に行いましょう。

ヒラメ筋の形状「羽状筋」の筋腹は横に広がります。


こんなイメージで支えています。

具体的に形をイメージしてトレーニングを実践してみてください。
効果がアップするでしょう。