扁平足を整える
一番下で骨格を支えるのは足部です。
実は日本人には扁平足が多くて、半数以上の人が足裏のアーチがうまく働いていないそうです。
扁平足だと、足のアーチの機能である、衝撃吸収と歩く時の推進力が低下し、身体に負担が来てしまいます。
さらに、その上に乗る骨格の位置を、正しい場所に収めることができなくて、骨格の歪みにも繋がります。
実はすごく足元の形って重要です。
人は2本足の姿勢なので、足裏だけで身体を支えます。その面積はわずか100㎠程度。
この足裏だけで、
①上体を安定させてバランスをとる
②地面の衝撃を吸収する
③歩く走るための敏捷性を発揮する
という機能を果たしています。
足部は小さな筋肉や骨、靭帯で構成されていて、複雑な構造ですが本来素晴らしい機能です。
今回は、足裏のアーチにフォーカスして、扁平足を治すヨガのポーズの方法をご紹介したいと思います。
扁平足とヨガポーズ
足部のアーチがしっかりとしていると、日常生活の快適さ、運動パフォーマンスの良さを実感することができます。
ヨガポーズも同様で、足部のアーチがしっかりとすることで、ポーズの綺麗さ、身体機能の向上、心地よさを実感することができます。
でも逆に、扁平足でヨガのポーズを行なっていると、骨格が歪み、膝や腰への負担となっている可能性があります。
せっかく実践しているのに、実は体に負担になっているなんて嫌です。
足のアーチを意識して、ヨガポーズをとることで、腰や膝に負担が来ることを軽減して、全身がバランスを取り直し、身体の位置を正しい方向へと導きます。
足部の機能が向上して、身体のあらゆる不調を改善できる可能性もあります。
扁平足を治して快適な身体を作りましょう。
ぜひ一度足部のアーチを意識したポーズをとってみてください。
足裏のアーチを作ってからヨガのポーズを行うと普段とは違ったポーズの体感となるでしょう。
ヨガのポーズで、扁平足を治して足の機能を取り戻しましょう。
その上に乗る身体のバランスを正しい位置に修正しましょう。
扁平足で起こる身体の症状
・体がだるい
・疲れやすい
・肩が凝っている
・腰が痛い
・猫背
・体が硬い
・筋肉がつきにく など
足裏のアーチ
足裏のアーチは3つあります。(内側縦アーチ、外側縦アーチ、前足部横アーチ)
この3つのアーチの端と端である、『親指の付け根』『小指の付け根』『踵』。
この3点でしっかりと地面を押して、身体を支えます。
このアーチを維持するために働く土台になるのは足部の内在筋です。
主に足の指の付け根から踵の中にある筋肉です。
小さくて細かな10個の筋肉が連携してアーチを作り、身体を支え、地面からの刺激に対応します。
その内在筋と共に協力して働くのはふくらはぎのインナーマッスル。
ふくらはぎの奥から足の指先に至る2つの筋肉(長母趾屈筋、長趾屈筋)と、足底に広がって付着する後脛骨筋です。
足趾の先端を地面に接地させて、下腿と足部を支えます。
脛の前側ではそれに対応するように前脛骨筋、足趾の伸筋が働きます。
しっかりと立つために重要な3つのこと
①踵がまっすぐ安定していること
②中足趾節関節がゆかにきちんと接地していること(足趾の付け根)
③中足部は柔軟さを保てること
筋肉は鍛えるだけでは十分ではないかもしれません。
3つのアーチは、柔軟性と張りの強さが必要です。
3点の中間部分である中足部は、強さと柔軟さが共存する部分。
筋肉も収縮するだけでなくて、より動きに対応できるようにトレーニング(ヨガポーズ)を工夫する必要があります。
足裏のアーチを作る
まず足裏を大きく広げ、足趾を長くして指先を遠くに置きます。
足裏の3つのアーチの端と端である、『親指の付け根』『小指の付け根』『踵』の3点でしっかりと地面を押します。
その3点を結んだ3角形の中に足の内在筋があるので、ギュッと収縮させます。足裏を吸盤のように見立てて、3点の中央を吸い上げる(持ち上げる)イメージです。
その後に緩めます。
強く収縮させたり、緩めたり自由にコントロールできるように練習してみます。
これを基本の運動とします。
最初はその感覚を得られにくいかもしれませんが、足裏の筋肉は小さな筋肉の集まりなので、微細な収縮でも効果的です。
できているかできていないかにはあまりこだわらずに行ってみてください。
ヨガのポーズ【扁平足と骨格を整えるポーズの方法】
タダアーサナ(山のポーズ)
①足をそろえて真っ直ぐに直立します。両足の親指と踵をつけて、足趾の先を遠くに置きます。
②両手は楽に下ろします。
③足裏の上に乗る上体の変化、バランスを感じながら、できるだけリラックスする場所で静止します。
④足裏のアーチを作り筋肉を収縮させ、足のアーチの確認と、上体のバランスの確認を意識をして行ってみましょう。
力加減はほんのわずかです。
⑤アーチを収縮させたり緩めたりしながら、上体のバランスや変化を観察します。
一番身体が楽な安定した位置を探索します。
ウトゥカタアーサナ(空気いすのポーズ)
①両足を腰幅に開いて立ちます。足の指先を長く遠くに伸ばすようにして床に置きます。
②頭頂部が天井に引き上げられるように意識をして、背骨を伸ばします。
③足裏のアーチを作ります。(内在筋を収縮させます)
④両膝を軽く曲げて、腰の位置を下げます。膝と股関節が同じくらいの角度で曲がるようします。膝はつま先よりも前に出ないようにしましょう。(足部の収縮を意識すると普段よりも膝を曲げにくいかもしれません。浅めに実践します)
*腰と首の後ろがつまりすぎないように注意。背骨を軽く引き伸ばすように保ち、胸も気持ちよく広げます。
⑤両手を挙げます。肩甲骨から動きますが、肩がすくんで首がつまらないように軽くあげる程度にとどめても良いです。
⑥10秒ほどキープ(10呼吸)したら、一度タダアーサナに戻り足裏を緩めます。
⑦再びポーズを取り直し3回ほど実践してみましょう。
このポーズでは脛が前に傾くので、ふくらはぎのインナーマッスル(後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋)が伸びた状態で収縮します。
トリコナアーサナ(三角のポーズ)
①両足を大きく開いて立ちます。右のつま先を右側へ向けて、左のつま先は正面よりもわずかに内側へ向けます。
②両手を広げます。肩は上がりすぎないように引き下げます。頭頂部は天井方向に引き上げられるように意識をして背骨を伸ばします。
③右足裏のアーチを作ります。
④上体を右に傾けていきます。骨盤は右方向に伏せるようにします。
*足裏のアーチを作ると、身体全体が整列しやすくなるので普段よりも深くポーズを行うことができません。身体を傾けることは浅くして、右手を右足の置けるところに添えます。(膝を伸展方向に押さないように注意)
⑤胸椎の下部(みぞおちの後ろ辺り)から背骨を回旋させて、目線を天井方向に向けます。首がつまらないように頭頂部が引き上げられる意識は保ちましょう。胸も開いて左手を天井方向に伸ばします。
⑥10秒ほどキープ(10呼吸)したら、反対側も行います。
このポーズでは脛が後ろに傾くので、ふくらはぎのインナーマッスル(後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋)が短縮した状態で収縮します。
ポイントは上体をあまり倒しすぎないことです。
足裏のアーチと胸椎から頚椎にかけて引き伸ばされながら回旋することを意識します。
アルダ・ウッターナアーサナ(半分上体を起こした前屈のポーズ)
①足を腰幅に開いたタダアーサナで立ち、足裏のアーチを作ります。
②軽く膝を曲げながら、股関節で身体を折り曲げて上体を前へ倒していきます。背骨は気持ちよく引き伸ばしながらお腹は引き締めて腹圧を保ちます。
③床に手のひらか指先をついて首や背骨はリラックスさせます。腰が曲がるようなら思い切って膝を曲げます。
④ウッターナアーサナ(立位前屈のポーズ)で数呼吸保ちます。
⑤上体を反らし(背骨を伸展させ)目線を床→前方へと向けていきます。首の後ろが詰まるようなら膝を曲げて背骨が緊張しすぎないように調整します。背骨は緩やかに満遍なく気持ちよく反ります。数呼吸保ちます。
⑥息を吐きながらウッターナアーサナ(立位前屈のポーズ)に戻り、膝を曲げて、ゆっくりと上体を起こします。
⑦タダアーサナで足裏を緩めてリラックスします。タダアーサナの感覚を確かめてみます。
このポーズでは太ももの後ろ(ハムストリングス)ふくらはぎの後ろが引き伸ばされながら身体を支えます。
ポイントは膝を曲げてもいいので、どこか局所的に緊張を作らないことです。
ブリクシャアーサナ(木のポーズ)
①タダアーサナで立ちます。足裏のアーチを作ります。
②右足を持ち上げ左足でバランスをとりながら、右足裏を左足の太ももの内側に付けます。頭頂部は天井方向に引き上げられているように意識します。
*バランスが取りにくい場合は、右足かかとを左側の内くるぶしの上に置きます。(右足は指先だけ床に触れます)
③両手を開いたまま上げるか、頭の上で合わせます。肩はすくまないようにリラックスして引き下げます。
④数呼吸ポーズをキープします。(10呼吸くらい)
⑤反対側も同様に行います。
このポーズでは片方の足に体重がかかるので、アーチを保つ力も倍増します。
最初は持ち上げる方の足のつま先は接地したままから始めて、徐々に片足だけに移行していきましょう。
セツバンダアーサナ(橋のポーズ)
①仰向けになって膝を曲げます。足は腰幅程度に開きます。手は体の横に手のひらを下向きにして置きます。
②足裏のアーチを作ります。
③息を吸いながら両手で床を押し、腰を持ち上げます。胸の中心まで高く天井方向に持ち上がるように意識をします。顎を引いて、首と頭の付け根を気持ちよく伸ばします。
④数呼吸ポーズをキープします。(10呼吸程度)
⑤ポーズを緩める時は息を吐きながらゆっくりと腰を下ろします。その後にシャバアーサナでリラックスして身体の変化に意識を向けます。
*③のバリエーション
慣れてきたら、両方の肩甲骨を軽く寄せて、背中の後ろで手を組んでポーズをとります。
このポーズでは身体の背中側で足裏のアーチを作ります。
身体後方で身体を支える練習になります。ヴィラバドラーアーサナ(戦士のポーズ)も安定します。
まとめ
扁平足で足のアーチが崩れてしまいそれが長期間続いていると、骨格全体が少しずつバランスを崩しながら日常生活やヨガポーズを行なっているはずです。
反対に足裏のアーチを形成しながらポーズを行うことで、ポーズ自体や日常生活での動きのパターン、身体のアライメントが修正されます。
それは、様々な足首の角度、負荷のかけ方がヨガポーズでは可能だからです。
意識の向け方、ポーズの取り方次第で、扁平足を治すこともヨガは効果を発揮します。
ヨガを実践しない人もチャレンジしてみてください!