手術の傷跡をキレイにする方法【手術後〜抜糸後〜1年までのケア】

これは、おそらく多くの人が気がついていないと思います。

とても大事なことなので手術を経験した人は必ず最後まで読むことをお勧めします。

最初に知っておいてほしいのは、手術の傷跡は身体の不調全般に関わるということです。今ではなく、数年後に不調が出てくる可能性もあります。脅したくはないのですが…。

 

僕はリハビリの仕事をしています。ご高齢の方をたくさん見てきて、そのことを特に実感しています。

傷跡を整えることで、『身体がどうのように良くなっていくか』を経験してきました。「もう少し早くからケアできていたら…」ということもあります。

まだこのことに気づいている人は多くはないかもしれませんが、今後筋膜の知識がもっともっと広まって、多くの人が『傷跡のケアをするのは当たり前』になれば、健康度は一歩前進するのではないかとすら思っています。

 

なぜ傷跡のケアが必要なの?

骨折やケガであれば、回復に向けてリハビリは一生懸命しますよね。手術をするとその後は少しずつ自然に安定に向かいます。

でも手術をした後盲点なところがあって、それが傷跡のケアです。

『傷跡のケアをしなさい』とはあまり言われません。なので見過ごされがち。でもリハビリ同様に大切なケアです。
これは必ずしてください!!

ケアをするのが必要な理由は、筋膜の性質にあります。

筋膜は、皮下組織、筋肉も骨も、全身を覆う膜のシート。この膜のシートで全身はつながっています。

ネガティブな面として、一箇所が癒着したり硬くなってしまうと、その部分を起点にして全身の緊張が変化します。骨格の歪みや離れた部分の不調となってしまうということがあるんです。

 

例えば、お腹の手術の瘢痕が、
「数年後の肩こりや腰痛になっている」
「歳をとったときに背中が曲がったり膝が曲がったり」
そういった要因にもなります。

 

筋膜は、数年かけて、起点に向けて全身の膜シートを引っ張り続けます。

 

でも、それはすごく自然にゆっくりと徐々に起こってしまうので、多くの場合気がつきません。

僕のリハビリでも、お腹の手術の瘢痕を開放すると、背中が伸びて歩き方が変わるとか、痛みが軽快するとか、よくあることなんです。

すごく硬くなりきってしまうと、背骨の中の硬膜にまで引っ張る力が伝わり、背骨がガチガチになってしまいます。そうなると変化させるのはすごく大変になります。

そこで、瘢痕のケアを早めにきちんとしておくことの必要性を、このブログを見た方にはお伝えしたいなーと思っています。

 

傷跡のケアの重要性

●  見た目のきれいさ

傷跡はミミズ腫れのように赤くなったりボコっとして、硬い厚みのある見た目になってしまうことがあります。最初はきれいでも、強い刺激や衣服の摩擦があると、後からそうなってしまうこともあります。
ひどい時はケロイド(肥厚性瘢痕)になってしまうこともあります。

 

● 体の動きに影響する

傷跡は関節の動きを制限することもあります。
先にも述べましたが、周囲の筋膜を長い時間微妙な力で引っ張り続け、体型や運動パフォーマンスに影響してきます。腰が丸くなったり、肩が凝ったりするのも、何年か前の傷跡が影響している可能性もあります。

そういったことを防ぐために自分でケアをします。

 

手術後の傷の変化

手術による傷は、ケガと同じように徐々に回復へ向かいます。

手術した傷が癒合するまでの期間は、傷の大きさ・傷の深さ・傷の部分・体質・代謝などによって違いはありますが、およそ1ヶ月〜6ヶ月かかります。

 

一般的には
・手術から抜糸まで … 1週間〜2週間程度

・傷が癒合して安定するまで … 1ヶ月〜6ヶ月
(代謝や傷の状態によって大分差があるようです。少なくても3ヶ月はかかると思っていいと思います。本当に安定するにはもう少し長い期間かかる印象があります)

 

注意したいことは見た目で安定したように見えても、見えない奥では変化が続くということ。傷跡の変化、修復は抜糸後も続きます。

傷が安定するまでは、自分でケアする大事な時期だと思ってください。

手術直後

手術した後は糸で縫合します。傷跡が閉じていない時期です。

傷を修復するために『肉芽組織』というのが形成されて、数日から数週間かけて傷が塞がっていきます。

だいたい数日から2週間程で、傷が塞がったら抜糸します。

最初の数日は、赤くなって熱をもったり、腫れて痛みがある炎症の時期です。炎症は、細菌などから傷口を守るための反応。悪いものではありません。

この時期に大事なこと(抜糸まで)は、『冷やしたり、むくみ過ぎないように患部を高く挙上』して過ごします。甘く見ないで面倒でもきちんとケアしましょう。

 

瘢痕の形成の時期

抜糸後、傷の接着はまだ不安定で柔らかいです。

傷口がきれいにくっついて癒合した後、肉芽組織は役目を終えて縮小していきます。その代わりにコラーゲンなどから作られる、白くて硬い組織が残ります。これを「瘢痕」といいます。

皮膚の接着が不十分だと、3ヶ月から4ヶ月は発赤や硬化が見られ、6ヶ月から1年かけて瘢痕組織は成熟して、傷が軟化し徐々に目立たなくなっていきます。

でも赤さや硬さがそのまま残ってしまう場合もあります。

 

傷跡をキレイにするためのケア

それでは、どのようにして、傷痕(傷跡)をケアすればいいのか。
気をつけることをまとめました。

傷跡を残さないためにすること

1.   傷口の固定(糸で縫うのもその一つ。抜糸後は傷跡専用テープで固定

2.   摩擦などの刺激を避ける(衣服にも注意。特に骨がでっぱっているところは注意)

3.   安静(術後必要以上に動かし過ぎない)適切な時期に適切なことをする

4.   乾燥を避ける

5.   清潔を保つ

 

基本的にはこの5つを気をつけます。

 

その他、間接的に気をつけることは

・大量の飲酒をしない
・長時間の入浴はしない

痛みが強くなる可能性があるので注意です。

 

ケアの方法

時期別にするケアの方法をご紹介します。

 

手術から抜糸まで

基本的に抜糸までのケアは病院で教えてくれると思います。糸で塗ってるので傷口は固定されています。医療用テープが貼ってあれば、そのまま入浴が可能。

今は早期のリハビリが大事と言われていて、この時期からリハビリを開始します。筋肉の運動、関節の運動はしなくてはいけません。でも、過度に動かしすぎることもよくありません。適切に優しく丁寧に運動していきましょう。

この時期特に摩擦や外部の刺激、動かしすぎに注意です。

動かした後はむくみが出やすいので『挙上したり、冷やしたりする』必要があります。

菌が入らないように清潔を保つことと、乾燥にも気をつけます。

 

抜糸後にすること

傷跡専用テープを貼ることをオススメ

【傷跡専用テープを貼る理由】
皮膚や筋膜には弾性があって、常に引っ張る力が働いています。傷口も開く方向に力がかかります。傷が開くとあとから傷跡が目立つようになったり、ケロイド(肥厚性瘢痕)になる可能性があります。それを防ぐためにテープを貼ってケアをします
テープは周りの刺激から傷跡を守る効果もあって一石二鳥です。

 

●  抜糸をしたら傷跡が開かないように傷跡専用テープを貼りましょう。

抜糸後もまだまだしばらくは、傷が変化する時期が続きます。硬いものが当たらないように気をつけます。衣服の摩擦や、サポーターや装具の摩擦もできる避けます。何かが当たる箇所には傷跡専用テープは特にオススメです。

 

●  いつまで貼り続けるの?
癒合」までは、早くても術後2〜3ヶ月くらいかかります。その間テープを貼り続けることをお勧めします。

「傷の硬さがなくなる」
「赤みがなくなる」
「かゆみがない」
こういう状態になるのが癒合の目安です。
でも経験的には、もう少し慎重に、長期間貼り続けてもいい人もいます。

 

傷跡テープ比較記事です。

 

軽いマッサージを始める

傷口が硬くなったり、癒着してしまうことを防ぐためにマッサージも開始します。マッサージもテープと同じくらい重要。

  • テープ → 傷跡をきれいに保つため
  • マッサージ → 硬くなったり、癒着を防いで動きをよく保つため

マッサージの方法は後から別で記事を作りますが、傷跡のマッサージは押したり揉んだりではありません。この時期は傷口が開く方向にはひっぱらないように注意します。優しく皮膚をスライドさせます。

 

3ヶ月〜6ヶ月経った後のケア

3〜6ヶ月経って傷が安定したら、硬くなった組織を積極的にほぐしていきましょう。
傷跡に向かって全身の筋膜が引っ張られて数年かけて全身の筋膜を引っ張って形を変えていきます。
それを防ぐには、硬くなっている傷跡をマッサージをして、筋膜に弾力と滑走性を与えていきます。

この時期のマッサージは、少しずつ強さと時間を増やしてもいいです。同じ箇所に対して90秒以上時間をかけることがおすすめです。気長にやります。深い部分でガチガチになっているようであれば、少し強く実践してもいいです。

*6ヶ月〜1年くらい経ってからも、スポーツなどで、強い摩擦、強い締め付けなど、刺激が強いようなことがあれば、「その時だけテープを貼ろう」もありだと思います。