今回は『傷跡をマッサージするメリット』についてまとめます。
傷跡のケアをすることはリハビリやトレーニングと同じくらい大事です。
人によってはそれ以上です。
手術やケガの後、リハビリや筋トレはするけど「傷跡のケア」はしているでしょうか?
何もせずに放っておいていませんか?
傷跡のケアをしないとどうなる?
最初に、傷跡のケアをしないとどうなってしまうのか?について考えてみます。
傷跡ができるとどうなるのか。
- 感覚の問題
- 可動性の制限
- 動きや関節の不安定さや変形
- 痛み(患部から遠い部分の痛みも含めて)
- 不安や精神的な落ち込み
などなど。
これらの要素で体や気持ちに負担があると、”全身の正常な機能を損なう恐れ”があります。怪我の後にうつ傾向になったということもあるくらい、精神的な面に影響することもあります。
ここで、注意したいポイントがあります。
外傷や手術後に『その部分が治癒したとしても、機能が完全に回復するとは限らない』ということです。
例えば、、
腱を修復してその部分は強く回復したとしても、腱の滑走ができないと機能不全と言えます。
健康な状態を維持するには、損傷が生じたときに、合併症を起こすことなく、適切に修復できるかも大事なんです。
「傷跡のケア」をしないと起こる5つのデメリット
瘢痕拘縮
傷跡は硬くなります。瘢痕化といいます。この硬さによって関節が硬くなることを『瘢痕拘縮』と呼びます。そうなると伸びにくくなるのはもちろん、縮みにくくもなります。これは運動するときに抵抗や制限になってしまいます。
特に関節に傷跡がかかると、関節を曲げる時の制限になりますが、関節でない場所でも、傷痕に向かって周りの皮膚や筋膜が引っ張られて、動きの制限になってしまいます。
癒着とひきつれ
瘢痕は筋膜の傷です。瘢痕組織は、皮膚の切開や、怪我をした創傷でできてしまいます。癒着も一緒に伴ってしまうこともあります。癒着は瘢痕の合併症みたいなものです。
(癒着とは、皮膚やその下の筋膜がくっついてしまうようなことを言います)
怪我をしても身体には回復力があるので、創傷はわりと早く閉じると思います。
よほどひどい状態でなければ修復されます。でもここで知っておきたいのは『元の状態に戻るわけではない』ということです。
表面の見た目はきれいでも、皮膚の下で瘢痕、癒着していることもあります。
重なり合う組織同士がくっついてしまって片方が動くと一緒につられてしまうことを『ひきつれ』と言います。本来、筋膜は滑り合う(滑走性)というのがあって、運動がスムーズにキレイに行えるのですが、それがくっついてしまうと、別々の動きができずに一緒に動いてしまうようになります。
ひきつれも抵抗になったり、器用な動きがしにくくなります。ひどいときは画鋲を刺したように全く動かない支点になることもあります。
体の形を変える
体の形は筋膜が作っています。(サーフィンのウェットスーツはしなやかでグニャグニャですが形が決まっています。そんなイメージです)
傷跡は数ヶ月かけて修復されて、落ち着いていきますが、まったく元どおりの組織には戻りません。戻るのではなくて、新たに再構築されます。
再構築された傷跡は、周りの皮膚や筋膜と質感が変わります。
『硬くなる』というだけではなくて、全身の筋膜をわずかな力でひっぱり続けます。すると筋膜の張力の変化によって、全体の構造が少しずつ歪んでしまいます。(ウェットスーツの形が歪むようなイメージです)
お腹の傷跡が原因で「猫背になっている」「腰痛や肩こりになっている」こういうことも少なくありません
『目に見えて!』ということもあれば、『あまりわからない範囲で!』ということもあります。
傷跡は周りから筋膜組織を引っ張って、年月をかけて少しずつ体の形を変えていきます!
『怪我や手術の後なんとなく体の調子が良くない』とか『数年後体の形が変わっている』というのは傷跡のケアをしていないことが原因かもしれません。
動きにくくなる(運動パフォーマンスが低下する)
体の形が変わること自体が、運動のパフォーマンス低下や、姿勢の変化につながります。
部分的に考えると傷跡は硬くなると伸び縮みしなくなります。
一箇所が伸びなくなると、その部分で体の連動がストップして、力や張力が伝わりにくくなってしまいます。
(ウェットスーツの一部をハサミで切って、そこを糸でグルグルに縫って修復すると、その部分だけ伸縮性がなく動きにくくなりますが、全体として動きにくくなりますよね。そんなイメージです)
筋膜は全身の動きを連動させるので、遠いところの筋肉のアンバランスや硬さにもつながっていきます。特に背骨は敏感で全身の刺激を感知します。身体のどこかで何かがあると微妙にバランスが崩れてしまうとされています。
見ための問題
傷跡が瘢痕になると赤く残ってしまったり、幅が広くなってボコっとしてしまうこともあります。
見えないところでも気になる方はいるかもしれません。女性は気になりますよね。
これが後にも残ってしまうかもしれないので、ケアをお勧めします。
傷跡ケアをしないと意外にも大きなデメリットがあります。
傷跡のデメリットによって、後々『姿勢の歪み』や『肩こり腰痛』『運動パフォーマンスの低下』につながっているにもかかわらず、それに気づいていないかもしれません。
この傷跡のすごく嫌なところは、気づかないうちにゆっくりと何年もかけて体の形を変えていくというところ。
過去の傷でもきちんとケアしてみてください。
『今、特に問題がないからいいや』ではなく、『問題が起こる前にケアしておこう』と思って欲しいなと思います。
傷跡マッサージの効果
傷跡をマッサージするメリットは、先に書いたデメリットを補えることです。
瘢痕拘縮をなくす!
関節の動きがスムーズに抵抗なく行えるようになります。皮膚や筋膜の伸び縮みが楽に行えるようになります。
癒着を最小限に!
柔らかさ、弾力、滑走性(隣の組織が滑り合う)、器用でスムーズな動きが行えるようになります。
スタイルの改善(体の形や姿勢が良くなる)
歪みを修正して、良い姿勢を作ります。良い姿勢は代謝の良さや関節の負担が少なくなるなどのメリットもあります。
動きやすくなる(運動パフォーマンスの向上)
運動パフォーマンスが向上します。背骨からしなやかに動けるようになるのがパフォーマンスとしては理想的です。背骨の動きは神経系にも関わります。内臓や手足の神経系も正常に働くことをサポートします。気持ちも前向きになりやすくなります。
見ためがきれいになる
見ためがきれいになります。うまく、根気よく実践すれば、ほとんど傷跡がわからないくらいまでになることもあります。
その他に傷跡をきれいにする要因
- 自然回復力や代謝の問題
「年齢が進むと傷が治りにくくなる」といったこともよく聞きます。代謝の問題で傷の回復状況は変わってきます。栄養の状態も関わってきます。食事から栄養をしっかりと摂ること。サプリメントをうまく活用することもおすすめです。 - 摩擦や過剰に動かしすぎるなど、外部刺激
回復する時期に、傷に対して摩擦や過剰な干渉が続くと傷跡は瘢痕化しやすくなります。傷跡テープを活用することや、服装などを気をつけることが必要です。 - よく寝ること
人が回復するためにはしっかりと休んで、修復するためにエネルギーを使えるようにします。
傷跡のケアがうまくいかないと、いいことがありません。後々のことを考えると、ケアした方がいいです。
今回は、ケアを必ずした方がいい理由の対比としてデメリットも書きました。
このブログの中で、ケアの方法や対策なども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。