手術前の筋トレやリハビリ
「術前リハ」という言葉を聞いたことはありますか?
一般的には「リハビリは手術が終わってからするもの」と思っている方が多いですが、
「術前リハ」は、手術前にするリハビリのことです。
あまり知られていないかもしれませんが、
手術する前に身体の機能を上げておくことも大事なんです。
手術前の身体の状態が、手術後に大きく影響する
ことをご紹介します。
手術後の足
手術をした知人の経過をご紹介します。(掲載の許可をいただきました)
知人がALS再建術(前十字靭帯再建術)を行なったので、お見舞いに行ってきました。
手術後2週間目でも筋肉がしっかりしていたことに驚きました。
知人は「普段から運動をしっかりしているタイプ」ではあるのですが、
『手術まで期間があったのでトレーニングをしていた』と話していました。
手術して2週間目の写真。
左膝を手術しています。
左足の筋力が落ちて細くなっているかんじでもなく、
左右差がわからないくらいですよね。
筋肉の質もいいし、しっかりとしています。
知人は柔軟性もあるので、手術した膝の曲がり具合も保たれていました。
この写真では、筋肉が維持されていることがわかりますし、関節の動きが手術後でもとても良いので、担当のセラピストが驚いていたそうです。
筋力の強さと一緒に、柔軟性も大事ですね。
運動習慣がなく、筋力がない人は、手術後一気に筋力が低下する可能性があります。
術後の安静期間が長ければ、さらに筋力は低下し、後から筋力アップしにくくなります。
術前リハのメリット3つ
1. 廃用症候群(筋力低下や、組織が硬くなること)の予防
手術で患部を治療しても、安静にする期間があると、体の機能は低下してしまうことが多いです。
手術前に筋力をつけておくことで、機能低下を最低限にすることができます。
2. 術後の機能回復が早い
手術部の周囲の筋力を強化することは、手術後の機能向上にとても役立ちます。
筋肉の萎縮や拘縮があると、リカバリーしにくいばかりか、手術の成績にも影響します。
柔軟で強い筋力を保っていたいところ。
手術部以外の筋力や基礎体力も、術後の機能向上に重要です。
手術する部分が動かせないような怪我では、他の部分の機能を維持しておきましょう。
3. 動機付け
手術は医者、リハビリはセラピストにしてもらう。という意識をどうしても持ってしまいがちですが、
基本的に自分の健康や体づくりは自分が責任を持って行うものだと思っています。
できないこと、わからないことは専門家に頼っていいのですが、あくまでも自分が主体的に行う気持ちは大事です。
術前リハの最大のメリット
2の『術後の機能回復が早いこと』ではないでしょうか。
運動が習慣になってる
筋力がある
組織が柔軟
体力もある
という状態はとても望ましいです。
やはり回復の早さ、後遺症の状態は変わってきます。
運動が習慣じゃない人でも、可能な限り機能をあげておきましょう。
急な怪我や病気の場合は、患部に対しての『術前リハ』『トレーニング』はできませんが、
『手術前の準備として運動も大事』ということを知っておいてほしいと思います。
可能であれば、他の部位の身体機能をできるだけ保っておきましょう。
手術前に自分でできること
・手術する部分の筋力を維持しておくこと
・手術する部位の安静が必要なときは、他の部位の機能を維持しておくこと
怪我や病気の種類、手術の内容によって、できることや動かし方も違います。
安静が必要な時もあるので、知識や状態に合わせた方法が必要です。
主治医の先生、担当セラピストに相談する必要がありますので、教えてもらった通りに実践するとよいでしょう。
怪我をしてから自分の体のことを考え始めるケースも多いです。
これを機に体のことを勉強するのもいいかもしれません。
必ず役立ちます。
骨折のときの実践例
僕が脛骨腓骨を骨折したとき、足を牽引されて全く動けない状態でした。
手術までの4日間、病院のベッドの上で一歩も動けない状態で実践していたことをお話しします。
- 背骨のインナーマッスルトレーニング
- 肩甲骨の運動
- 首のトレーニング
足は全く動かせないので、他の身体の部位をトレーニングしていました。
トレーニングマシーンもないので、自重トレーニング。
主にインナーマッスルをトレーニングしていました。特に背骨のメンテナンスをしっかりと行っていました。
背骨の筋肉はすごい数で、一つずつ動かして運動していたら、4日間なんてあっという間。
おかげさまで骨折前よりも身体は柔軟性がアップしています。
僕の場合は、怪我をした部分を全く動かせなかったので、その他の身体のトレーニングをしていました。
注意
骨折などは患部を安静にする必要がありますし、病気によってはなるべく体力を使わない方が良い場合もあるので、あくまでも先生やセラピストに相談した上で行います。
不安な場合や、わからない場合は専門家に聞いてください。