骨の役割

骨をただの硬い棒のように思っている人は多いのではないでしょうか?

そんなことはないんです。骨にも素晴らしい機能があって、まるで自立した生き物のように色々なことをしているんですよ。

 

骨は、コラーゲン線維カルシウムなどの無機塩から成り立っています。

コラーゲン線維の割合が高いと、力が加わったときの弾性が高くなります。実は骨はしなるんです。
若いときはコラーゲン線維の割合が高いので、骨には弾力があります。

年齢を重ねるごとにコラーゲン線維よりも無機塩の割合が高くなって硬い骨になっていきます。

 

骨の役割と6つの働き

骨の役割はとても多く、近年では内分泌器官として、脳や全身の臓器に作用することがわかって注目され始めています。

骨格を作って身体を支える

体にはさまざまな形の骨があります。

肩甲骨のような平らな骨。脛骨など長くて空洞のある骨。
さまざまな形が組み合わさって配置され、私たち人間の形になっています。

骨は人体の中では硬くて、数十キロある体重を支える強度があります。
特に脚は、立っている時に自分の体重を支えています。
走ったりジャンプすると自分の体重以上の負荷がかかりますが、それすらもしっかりと支えてくれています。

衝撃に耐えられる強度と、若干のたわみで力を分散することができるようになっています。

 

骨格全体では、背骨は脊柱と言って、身体の”柱”となる部分。昔のお家に例えると大黒柱みたいな役割をしています。

背骨はS字状にカーブし、歩いた時の衝撃を和らげ、外力に対してクッションのような役割もします。
体の真ん中で、軸を作りながら、しなやかに動くという素晴らしい構造です。

骨盤は内臓の下にあって、臓器を支えています。

このように骨は、姿勢を支えたり、臓器を支えたり、身体全体を支える役割があります。

 

内臓など柔らかい器官を保護する

胸では胸骨と肋骨が肺や心臓を覆って保護しています。
背骨は中を通る脊髄神経を守っています。
頭は頭蓋骨が脳を包んで保護。
骨盤は腸や膀胱、子宮、卵巣などを支えながら守っています。

外からの衝撃があっても、内側の柔らかい臓器がダメージを受けないように、骨には内側の柔らかい臓器を保護する役割があります。

 

関節を作って運動の軌道を決める

骨と骨のつなぎ目を関節と言います。

関節がどのような形になっているかによって、運動の方向は決まります。

例えば、肩や股関節は片方が球で片方が受け皿のようになっているので、あらゆる方向に動きますし、膝や肘は凹が凸の軌道に乗って一方向に動きます。

胸の部分では、肋骨が肺や心臓を保護しながらも、呼吸運動に合わせて動くようになっています。深呼吸すると胸が広がったり狭くなったりしますよね。

背骨は脊髄神経を守りながらも、ねじれたり、反ったり、丸まったり可動する形になっています。

頭の骨のつなぎ目は縫合といいますが、脳を保護しながらも、脳脊髄液の流れるリズムに応じて広がったり、戻ったりを繰り返しています。

骨を動かしているのは筋肉や圧力なので、骨は受動的に動かされていると言えます。
関節を作って可動するようになっているので、運動の方向づけをする役割があります。

 

血液を作る

骨は独立した白い物体のように見えますが、実は内側に血管が張りめぐらされています。

その中の一部の骨では、骨の中心部にある”骨髄”で血液が作られています。

骨髄には造血幹細胞というのがあって、全ての血球(赤血球、白血球、血小板)が作られます。
本来であれば、赤血球、血小板は血管壁を超えられないのですが、骨の中の毛細血管は隙間が空いているので、血管の中へ入り込むことができるようになっています。

血液を作る主な骨は、
頭蓋骨、胸骨(胸の前にある肋骨のつなぎ目の骨)、椎骨(背骨の骨)、肋骨、骨盤などです。平べったい骨や小さい骨で作られています。
若い時には大腿骨(太ももの骨)や上腕骨(腕の骨)など長い骨でも作られています。

 

カルシウムやリンの貯蔵庫

骨はカルシウムやリンを貯蔵してします。血液中に足りなくなった時に放出するようになっています。

カルシウムやミネラルは体の働き、運動には欠かせません。
カルシウムの99パーセントは骨の中にあります。
カルシウムは神経系の情報伝達や筋肉の収縮には欠かせない物質なので、いつでも必要な時に出せるように骨が蓄えてくれています。

 

骨ホルモンを分泌する

近年の研究では骨は内分泌器官としても働いていることがわかってきました。
骨を作るために働く骨芽細胞は、骨ホルモンの一部であるオステオカルシンを分泌します。

 

オステオカルシンの働き

① 膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促したり、骨格筋や脂肪に作用してインスリンの働きを良くして、血糖値を下げる
→ 糖尿病の予防

 

② インスリンは骨芽細胞に作用して、骨が丈夫になる。
→ ・骨が丈夫ならインスリン分泌が亢進して、糖を取り込むことができて、全身の代謝が亢進する

→ 肥満の予防

 

③ 脳の神経細胞に作用して記憶力を向上させる

④ 精巣に働きかけて男性ホルモンの分泌を促す

 

その他、動脈硬化を予防する、活性酸素の量を減らしてアンチエイジング効果が期待されるなど、さまざまな働きをするそうです。

このように骨の働きって実に多彩!

怖い骸骨のイメージから、なんだか神秘的なものに見えてきませんか?

その働きを知りつつ骨を見てください。

 

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