体は食べ物で作られています

大腰筋の特徴と初心者に効果的なトレーニング方法

大腰筋とは  

大腰筋は股関節、骨盤、腰椎にまたがる筋肉です。
お腹と腰の間にあり、体の表面からは見えないインナーマッスルです。

位置を表す表現では『後腹壁』または『深腹筋』と呼ばれることもあります。

その働きは人体にとって非常に重要で、身体の動き、姿勢の調整、『動』と『静』両方の役割があります。

人間の体の中心に位置して、上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉でもあります。

大腰筋が働くことで、人は快適に動けるようになります。
疲れにくくなり、姿勢が良くなり、腰痛や肩こりから解放され、運動するときのパフォーマンスが向上し、正にいいことづくしです。

ただ残念なことに、この筋肉をうまく使えている人は多くありません。
大腰筋が眠っている状態の人は、非常に多いです。

特に日本人は外国人よりも大腰筋が小さく、大きさが半分以下とも言われています。

大腰筋の『腰』という漢字は、この筋肉をよく表しています。
月偏は肉月を意味して、元々は『肉体』。肉体の『要』と書いて『腰』という字になります。

肉体の要として大きな役割を持つ筋肉と書いて『大腰筋』です。

英語では【psoas major muscle】
psoa=腰の
という意味です。

 

大腰筋の特徴

大腰筋は、股関節の屈曲、股関節や腰椎の安定のために働いていて、『運動』と『安定』両方を担う器用な筋肉です。
腸骨筋と共に股関節の屈曲筋として、最も強力な筋肉。
そして、腸骨筋と共に、歩行や正しい姿勢を保つために重要な役割を果たします。

身体のパフォーマンスの司令塔のような役割を果たす筋肉。

大腰筋は大きな断面積を持ちます。
でも、骨格に密着して付いているので、トルク(力の回転モーメント)は小さいという特徴もあります。
インナーマッスルの役割を果たしつつ、運動にも貢献することがわかります。

また、大腰筋は腰椎の側面から起こり、大腿の付け根に付着します。
多くの関節にまたがる筋肉なので、比較的大きな高低差が生じます。

起始と停止

起始:浅層 第12胸椎と第1〜4腰椎(椎体)の外側面
      それらの間にある椎間円板
   深層 第1〜5腰椎の肋骨突起

中間:腸骨筋と合わさって、腸骨筋膜に包まれる。

停止:腸腰筋として小転子に付く。

神経支配

腰神経叢 : L1 – L3

大腰筋の作用

大腰筋の作用は一言では表現できません。
すごく多彩ということと、人によっても働き方が変わってくるからです。
骨盤の角度、腰椎の形で作用が変化します。

大腰筋の多彩さ

立位では『動き』よりも『安定』や『姿勢の調整』に作用します。
大腰筋が収縮すると、まずは腰椎関節がきちんとはまるように圧迫し、腰椎を安定させます。
歩行くらいの強度では、安定と姿勢調整作用の方が優位に働くかもしれません。

でも、ランニングなど、太ももを高く上げるようにあると『動き(股関節の屈曲)』に大きく貢献します。

さらに、大腰筋は腰椎の側方に位置するため、わずかですが、腰椎を側屈させる働きもします。

歩き方がキレイに見える人は、大腰筋がよく動いて、骨盤がローテーションしていることがわかります。

 

働き方の変化

とても面白いことに、大腰筋は腰椎の上部と下部で作用が変わります。

腰椎は前弯しているので、腰椎上部では腰椎を圧縮し安定させるか、わずかに伸展に作用します。
腰椎が伸展すると、腰椎上部はどんどん伸展方向への作用を強めていきます。
屈曲していくとどんどん屈曲作用が強くなります。

反対に腰椎下部では常に屈曲に作用。
骨盤は前傾します。(骨盤を固定すると股関節屈曲)

いずれにしても大腰筋が収縮すると、腰椎がきちんとはまるように圧迫していきます。
それは腰椎を安定させることになります。

人の骨盤の角度や、腰椎の湾曲の仕方によって、大腰筋は作用を変化させていくとても面白い筋肉です。

その人の姿勢によっても使われ方に違いがあります。
大腰筋に関してはいろいろと言われていて、細かな部分では、はっきりとした作用やトレーニング方法を示せてはいません。

大腰筋の主な作用

股関節屈曲

一番わかりやすい作用としては股関節屈曲作用です。
股関節屈曲と同時に骨盤と腰椎下部が前傾するような力も働きます。
股関節が90以上上がるような時は、運動に対して大きな力を発揮していきます。

骨盤前傾と姿勢調整

インナーマッスルとしても作用する大腰筋。
きちんと働いていると骨盤を前傾させ、腰椎の前弯のカーブを作ることに貢献して、キレイな姿勢を作ります。

骨盤の前傾を保つことは、その上に乗る脊柱が正しい位置どりをするようになるので、腰痛や肩こりを軽減し、ヒップアップやキレイな歩き方をサポートします。

股関節、腰椎の安定

運動の初期には股関節の安定(大腿骨頭を腸骨の臼蓋へはめ込むような方向)に作用します。
安定化を図った上で股関節を屈曲させます。

腰椎に対しても屈曲伸展よりも優先して、椎間同士を近づけて安定させる作用があります。
その上で運動を起こします。

腰椎側屈

腰椎の横側に付着するので、わずかにですが腰椎を側屈させる作用があります。
歩行は頭部を固定しての動作なので、腰椎に向かって骨盤や大腿骨を近づけるような側屈運動になります。(それがキレイな歩き方を作る要因の1つ)

側屈の運動を起こすというよりも、より自然に上半身下半身を連動させるために側屈が起こることが理想。
そういう風に大腰筋が働くようにしたいです。

背臥位では上半身または下半身を起こす

寝ている姿勢から起き上がるような動きでも、屈曲や側屈運動に作用します。

 

大腰筋の筋力トレーニング

大腰筋は、すごく多彩な働きをする筋肉で、運動にとって重要なのですが、あまり働いていない人も多いです。

運動をしようとしても、他の筋肉が代償してしまい、大腰筋が働かないまま運動していることがあります。

筋肉の場所を覚えて、意識をしてトレーニングをしましょう。

股関節屈曲運動(座って実践)

1、椅子に腰掛けます。
2、片方の足の太ももの付け根付近に手を置いて、太ももを持ち上げる。股関節の屈曲と同時に骨盤はわずかに前傾させる。

*最初はあまり高く上げなくてもいいので、股関節屈曲と骨盤前傾が一緒に起こるように練習しましょう。
*腰椎の上の部分まで筋肉があることを意識しましょう。

股関節屈曲(立って実践)

1、立位で、片方の足の太ももを床と平行になるくらい上げる。
2、太ももの付け根付近に手を置いて、太ももを持ち上げる。骨盤が後ろに倒れないようにそのまま保つか、ほんのわずかに前傾させる。

*股関節屈曲と骨盤前傾が同時に起こるように意識をします。

筋トレは、最初は低負荷から始めて、大腰筋が働いてから負荷を強くしていきましょう。
太ももの付け根に当てた手の位置を、膝の方にずらしていくと負荷をかけやすくなりますが、同時に他の筋肉で代償しやすくなります。

セラバンドを利用した方法

1、椅子に腰掛けて、両方の太ももをセラバンドで結びます。少しタイトに。中間くらいか、少し膝の方に結びます。
2、骨盤をほんの少し前傾させて、背骨をまっすぐにします。(テーブルが前にあったら手をついてもいいです)
3、片方ずつ足踏みをします。骨盤はそのまま保つか、ほんのわずかに前傾させます。

スクワット

上のトレーニングを行なった後にスクワットを実践します。
大腰筋が活性化されている状態で、トレーニング効果を身体に馴染ませるために役立ちます。

ウォーキングやジョギング

トレーニングをして大腰筋を活性化させた後に、ウォーキングやランニングはオススメです。
全身の連動した動きが得られやすくて、姿勢の調整、インナーマッスルの活性化に役立ちます。
Befor、Afterで比べてみることで、トレーニングが大腰筋に対して効果があったかどうかもわかります。

 

 

大腰筋のストレッチ

前後に足を開くストレッチ(アシュバサンチャラアーサナ)

1、右足を大きく後ろへ下げて、足の甲と膝を床につく。
2、両手は床。左足を挟むようにして置く。(指先だけ床につくようにします)
3、上体を起こして伸ばし、胸を開く。
4、右足側の大腰筋をストレッチ。(足の付け根の深部内側から、腰椎上部まで)腰が後ろ側でつまらないように、深部前側を伸ばすようにストレッチ。
*できれば30秒以上行います。

反対側も同様に行います。

 

片膝を折って後ろに倒れるストレッチ

1、右足の膝を正座のように折りたたんで、後ろに倒れていく。
2、膝を折った方の足の反対側の肘を床について、上体を支える。
3、右側の大腰筋の前側が伸びて、ストレッチされるように、ゆっくりと上体の倒れる角度を調整する。
*ピタッと寝てしまっては腰を痛めてしまう可能性があります。腰椎の後ろ側は詰まらせないように、深部前側を伸ばすようにストレッチ。
*本当に硬い人は優しい負荷で、時間をかけて行います。
*できれば30秒以上行います。

反対足も同様に行います。

 

運動のコツ

大腰筋が硬く萎縮してしまっている人を多く見かけます。
そういう人が特に気をつけることは3つあります。

1、低負荷でトレーニングを始めること
2、ストレッチは優しく時間をかけて行うこと
3、どこにあるのかをイメージして動かすこと

時間をかけてゆっくりとトレーニングを始めてみてください。

その後に、どんどん強度を上げていきましょう。

代償運動で他の筋肉が働きやすいので、意識をすることが大事な筋肉です。