全身は筋膜(fascia)でつながっています。
体中をめぐるネットワークです。
ですが、身体の部分によって硬いのか柔らかいのか違いがあります。
今回の記事では筋膜の質感について考えてみました。
自分の体にどんな質感があるのか知ってみるのも面白いです。参考にしてみてください。
『筋膜が伸びる感覚ってどんな?』を感じるためには、組織の質感を知ることは手がかりになります。感覚的にわかりやすくなると思います。
そして『体ってすごいっ!』ということにどんどん気づいてくるかもしれません。
硬い骨もコラーゲン・しなやかな筋膜もコラーゲン
筋膜の基になっている一番の構成要素は【コラーゲン】です。コラーゲンは体を作るタンパク質のひとつ。
骨も、靭帯も、腱も、真皮も、筋膜も全部の組織にコラーゲン線維が含まれます。
全身の何もかもがコラーゲンでできていると言ってもいいくらいです。
それでは硬い骨と、柔らかい筋膜の違いはなんなのか?
どうして硬さが違うのでしょうか?
硬い骨はどうやってできているの?
硬い骨は、コラーゲンのあみめ状の線維に、『カルシウム』や『リン』が付着して硬くなっているんです。
よく『骨を丈夫にするためにはカルシウムを摂ったらいい』と言われますが、コラーゲンにカルシウムが付着するから『硬さ』になっているんですね。
とは言っても、骨にも”しなり” ”たわみ”が必要。大げさにいうと、カルシウムばかりだと骨は硬くなって、急にボキっと折れやすくなります。
コラーゲンが線維状になっていることで、しなりやたわみができて力を受け流すようになっています。コラーゲンとカルシウムのバランスが大事です。
しなやかな筋膜はどうやってできているの?
それでは柔らかい筋膜はどうなっているかというと、伸縮性のある柔らかい『エラスチン線維』が多くあって、伸び縮みしやすくなっています。
伸びた後もすぐに形を復元してくれるのはエラスチンのおかげです。
エラスチンがコラーゲンと共に線維を作っているので、伸縮性のある柔らかな組織になるんです。ハイブリッドな線維。
硬い筋肉は筋膜が伸びにくくなっていて、癒着していることもありますが、そういった箇所はコラーゲンが比率的に多くなっていきます。
その他ですが、例えば真皮はプロテオグリカンなど水分を保持してくれて、肌の弾力を保っています。
体の組織は、コラーゲンが含まれる量の比率と、どんな成分と一緒にいるかによって、『硬さ』『しなやかさ』『質感』を変えてます。
靭帯、腱は膜が密集して強くなっている
靭帯や腱はどうなっているのかというと、コラーゲンの線維が密集して、線維の配列(並び方)を変えることで強くなっています。まとまりの束となっています。
膜のシートの弾力や伸縮性に対して、密集してロープのようになることで強さを作っています。
靭帯は関節を固定・安定させて、必要以上にぐらつかないようにしています。
線維の配列や密度によっても『強さ』『伸縮性』などを変えています。
コラーゲンの強度は鉄よりも強い
立命館大学機友会の研究で、コラーゲン線維がどれくらい強いのか引っ張って実験した結果があります。
乾燥したコラーゲンの線維は柔鋼よりも1.5倍以上の強度があることがわかりました。コラーゲンの線維はかなり強度があることがわかります。
そんな強さのあるコラーゲンですが、ひずみは約30%あるそうです。
『コラーゲン線維は柔鋼よりも強くて、よく伸びる』ということがわかります。
まとめ
なんとなく筋膜の質感を感じつつ実践してみるのもいいですよ。
材料としては、骨を強くするならカルシウムも必要だし、しなやかな体を作りたいならエラスチンが必要。代謝する期間もあるのでやっぱりコツコツ続けることが大事なんですね。
そもそも筋膜って何?はこちらをどうぞ⇩