トレーニングを効果的に行うために
【トレーニングの3原則5原理】という法則があります。
どんな法則か わかりやすく言うと
「こうすると効果がでやすいですよー」という法則です。
体の仕組みには基本的な決まりごとがあります。
この法則を知ることで、トレーニングをより効果的にすることができます。これは筋トレだけではなく、ヨガやリハビリなどでも共通のルールです。
反対に原理原則を無視すれば、不適切な練習になってしまうかもしれません。努力が報われないばかりか、身体を痛めてしまうかもしれません。せっかくトレーニングしたのに痛めてしまっては本末転倒です。
身体を痛めることなく効率的に鍛えれるように、トレーニングの原理原則について書いていきます。
原理、原則とは
● 原理とは
それ自体が他に依存せず、他のものがそれに由来するような第一のもの。始まりのもの。(ブリタニカ国際大百科事典より)
根本的な法則や規則のことです。
トレーニングの3原理は、トレーニングで身体に与える影響の根本的な法則です。
● 原則とは
多くの場合に、共通に適用される基本的な決まり。法則。(デジタル大辞典より)
一般的に適用される基本的な決まりごと。ルールのようなものです。
トレーニングの5原則は、原理を基とした上でトレーニングするときのルールです。
トレーニングの3原理
トレーニングの原理は3つあります。
1. 過負荷の原理
身体に一定以上の運動負荷を与えることで機能が向上するという原則です。
筋力アップであれば、日常生活で受ける以上の ”過負荷” をトレーニングで加える必要があります。
柔軟性も同様。パフォーマンスの向上や、身体のしなやかさを高めたいのであれば、日常生活ではしないような動きや可動範囲を大きく運動する必要があります。
トレーニングに慣れてくると、同じ負荷だと効果は頭打ちになってしまうので、維持はできても向上は しにくくなります。
その時の自分に対して “過負荷” を与えること。
負荷をプラスする、量を増やすなどをして、方法を考えていくことでさらなる向上が可能です。
2. 特異性の原理
トレーニングをした内容(種目や運動)に対して効果があるという原理です。
トレーニングをした部分で、トレーニングをした内容のものが強化されます。
目的があったら、それに対して適切なトレーニング方法を考えることが大事です。
スポーツであれば、その特有の運動に見合った部分を、見合った方法で鍛えたほうが効果的です。負荷の与え方や回数や量を考えてパフォーマンスを上げていきます。
トレーニングを行なった内容のものが強くなるので、どういう運動を向上させたいのか?によって、どこをどう鍛えるかが変わってきます。
ヨガは身体の調和、バランスをとることが目的です。
自分に見合ったポーズや方法で、自分の身体に合わせて調整することが大事です。
自分自身が鍛えたい部分、しなやかにしたい部分を知りながら、その部分に適した負荷を与えていけると良いと思います。
3. 可逆性の原理
トレーニングで鍛えた能力は、トレーニングをやめると戻ってしまうという原理です。
適切な運動を続けることの大事さを表しています。
トレーニング期間が長ければ、戻ってしまう速度は遅いのですが、短い期間であれば戻るのが早いです。継続することで、トレーニングの効果が身体に定着しやすくなるので、続けることが重要です。
続けたトレーニングは数日休んだからといって、すぐに戻ってしまうわけではありません。今は効果を出すために必要な休息を、根拠を持って、科学的に取り入れられています。(それもトレーニングのうち)
逆に「適度な休養が身体にとって必要なこともある」ということは覚えておいてください。
まとめ
・過負荷の原理
身体に一定以上の運動負荷を与えることで機能が向上する
・特異性の原理
トレーニングをした内容(種目や運動)に対して効果がある
・可逆性の原理
トレーニングで鍛えた能力はトレーニングをやめると戻ってしまう
トレーニングの5原則
トレーニングの原則は5つあります。
それほど難しいものではなく、聞くと「そんなの当たり前」と思うかもしれません。
1. 意識性の原則
意識性の原則とは、
鍛える部分に意識を向けることで、より運動効果がアップするという原則です。
繊細に、具体的に意識を向けられると、さらに効果的。
今どこに、どれくらいの強度をかけているのかに意識を向けます。
ただやるのではなく「負荷をここにかけている」「こう動いている」と意識するようにします。
フォームは正しいのか?
ターゲットの筋肉は働いているのか?
意識性を高めるためには、解剖学の知識も役立ちます。
より細部にまで意識が向くと、筋力が向上するだけでなく、自分のコントロールの仕方が変わってくるでしょう。
詳しくはこちら → 意識性の原則
2. 全面性の原則
全面性の原則とは、
体はバランスよく鍛えることで健全に強くできますという原則です。
鍛える部分が偏ると、全身のバランスが崩れてしまうかもしれません。
そうすると、関節や筋肉、身体の一部分にストレスがかかってしまったり、偏った運動パターンになってしまいます。
それが続くと、痛みや怪我やパフォーマンスの低下につながっていく可能性が高くなります。
スポーツによっては、そのスポーツ特有の動作に対して鍛える必要はありますが、それが偏りすぎるのも良くありません。
上半身 ー 下半身
前 ー 後ろ
左 ー 右
全体のバランスを考えながら運動しましょう。
その面で考えるとヨガのアーサナは、
屈曲したら伸展する、右をしたら左をする
という繰り返しのシークエンスが多いので、バランス(全面性)を整えるのに役立つと言えます。
アスリートが取り入れているのも、身体的にはそういった目的があるかもしれないですね。
詳しくはこちら → 全面性の原則
3. 漸進性の原則
漸進性の原則とは、
負荷量を徐々に上げて行きましょうという原則です。
トレーニングを始めたばかりで、いきなりすごい負荷をかけるのではなく、順を追って少しずつ進んで行きましょう、ということです。
特に筋力訓練の最初は、
神経系の適応期間(眠っていた筋肉が目覚める期間)があります。
神経系が適応されて、筋線維の動員率が上昇します。(運動単位の動員)
より多くの筋線維を運動に利用できるようになるためには時間が必要ということです。
運動に対して神経系ができてきて、慣れてきたら、今度は筋線維を肥大させていく段階になります。
負荷や回数を徐々に増やすことで、体を壊さずに筋力をアップさせていきます。
ずーっと同じ負荷、回数で行なっていると、その負荷に慣れてくるので、さらに強化したい場合は、
負荷量、回数、頻度、時間、バリエーションなど継続して変えていくことが効果的です。
詳しくはこちら → 漸進性の原則
4. 個別性の原則
個別性の原則とは、
個人の特性に合わせたトレーニングをしましょうという原則です。
年齢、性別、くせ、筋肉の質、個人の能力が異なれば、同じことをしたとしても効果が違います。
逆にいえば、自分の体に合った訓練方法や、やり方がわかれば、効率的に体を鍛えることができます。
筋トレするにしても、体が硬い男性の筋トレ方法、今まで運動たことがない女性の筋トレ方法、小学生の筋トレ方法、は違います。
ヨガをするにしても、いろいろなシークエンスがあるので、どのシークエンスが自分の体を整えるために必要なのか?という目線で選ぶ方法もあるかもしれません。
詳しくはこちら → 個別性の原則
5. 反復性の原則
反復性の原則とは、
続けることで効果がでますよという原則です。
先ほど漸進性の原理のところで、神経系の適応期間に関して触れましたが、それは2〜3週間くらいと言われています。その後継続し、6〜7週間抵抗運動を加えていると、個々の筋線維が肥大してきます。
反復や継続が効果を発揮してくれます。続けることで身体や神経系は強化され、定着し『自分のもの』とすることができます。
詳しくはこちら → 反復性の原則
5原則まとめ
・意識性の原則
鍛える部分に意識を向けることで、より運動効果がアップする
・全面性の原則
体はバランスよく鍛えることで健全に強くできる
・漸進性の原則
負荷量を徐々に上げて行きましょう
・個別性の原則
個人の特性に合わせたトレーニングをしましょう
・反復性の原則
続けることで効果がでますよ
まとめ
ウォーキングが体にいい、筋トレが体にいい、ヨガが体にいい。
果たしてどれがいいのか?迷う方もいると思います。
結果的にはどれもいいです。
ただ、やり方次第。という側面があるかもしれません。
やり方次第で運動は、健康や自分を整えるために欠かせない効果的なものになります。
しかし、やり方を間違ってしまったり、身体の誤認識があると体を壊してしまう可能性を秘めています。
トレーニングの原則は、体を整えるための知恵でもあります。
自分を整える一助にしてください。