足の虫様筋の役割と作用 トレーニング方法 【足の微妙な位置関係を調整する筋肉】

  • 2019年2月16日
  • 2019年9月5日
  • 足部

足の虫様筋とは

足の虫様筋は、足底の中央部の短い筋肉です。
第2趾〜5趾の4個あるのが一般的。

足底内在筋の1つで、4層ある内の2層目に含まれる筋肉。(1層目が一番表層)
もう1つの2層目の筋肉である足底方形筋とは、長趾屈筋腱を介して、前と後ろに並んでいます。
踵から長趾屈筋腱までが『足底方形筋』
長趾屈筋腱から足趾までが『虫様筋』
という並び方です。

英語では【lumbricals muscle】
lumbricals=ミミズ、虫のような
という意味。
ミミズのように見えなくはありませんが、「虫のような」の方がしっくりときます。

特徴

虫様筋は片足に2〜5趾まで4個あります。
そして、錘内筋(筋肉の長さを感知するセンサー)が多いので、足の微妙な位置どりを調整するという特徴があります。

起始は足の裏側にあり、停止は背側にあるのも特徴の1つで、特に『起始は屈筋腱』『停止は伸筋腱』に付くのが面白いところ。
調整する作用、運動を制御する作用があるということがわかります。

走るときにもよく働き、硬くなります。
あまりにも硬くなると、足趾に過剰に力が入り、歩くときは足全体を緊張させることになります。

靴ひもを強く締めて虫様筋を圧迫すると、足趾の変形や足部の位置関係のバランスが崩れる要因にもなるので、子供だからといってあまりにも大きな靴で紐を締めつけて履くことには注意が必要です。

起始と停止 

起始 ー 長趾屈筋の個々の腱の内側縁
停止 ー 第2〜5趾の基節骨内側縁を通り、背側の趾伸筋腱に入る

起始は足底側から始まり、基節骨の内側を通って、停止は背側に回ります。

神経支配

内側足底神経 ー L5,S1 (第1,2,3虫様筋へ)
外側足底神経 ー S1,S2 (第4虫様筋へ)

働き

①第2〜5中足趾節関節を屈曲(MP関節屈曲)、趾節間関節伸展(DIP関節、PIP関節伸展)
②第2〜5趾を母趾側へ内転
③足の微妙な位置関係を調整
④前足部横アーチを硬く保持するのを助ける

 

足の虫様筋の作用

2〜5趾のMP関節屈曲、DIP,PIP関節を伸展する作用

一番の運動作用は第2〜5趾のMP関節屈曲の作用です。
起始が足底方向にあり、停止が背側にあるので、小さい筋肉ですが屈曲する力は効率よく働きます。

虫様筋は、起始が長趾屈筋腱にあって、停止が趾伸筋腱に付着します。
反対の作用を持つ腱に両端でくっつくきます。
MP関節を屈曲して、DIP,PIP関節を伸展する運動を起こすはずですが、その運動を足で再現するのは相当難しい作業です。
おそらくできないと思います。
そのことから、DIP,PIP関節では微調整や運動制御の意味合いが強いと予想されます。

2〜5趾を母趾の方へ内転する作用

筋肉の付着部は基節骨の内側にあります。
収縮すると純粋な屈曲方向ではなくて、内転の方向性も加わります。
足の横アーチを強くすることにも貢献。

足部の微妙な位置関係を調整する作用

虫様筋は4個の個別の筋肉なので、それぞれ別々な力加減で収縮することが可能です。
さらに錘内筋(筋肉の長さを感知する筋線維)の割合が多いので、わずかな変化もセンサーが感知して、微妙な位置関係を調整しています。
片足4個の筋肉で、繊細なセンサーを駆使していることになります。

前足部の横アーチを強くする作用

基節骨を内転させる方向の運動作用によって、足のアーチを強く保つことに作用します。
さらに、足の位置関係を微調整する特性は、デコボコしたところや傾斜がある場所を歩いても足の位置関係(アーチの形や骨の配列)を適切に反応させることに貢献します。

筋力トレーニング方法

虫様筋という名前ですが、4個は別々に存在しているので、トレーニングすることで足趾を器用に動かすことができるようになります。

第2〜5趾MP関節だけを屈曲

①椅子に腰掛けるか、床に寝そべる
②右足の2〜5趾のMP関節だけを屈曲。やや内転気味に屈曲する(2趾は母趾の下方向へ向かいます)
*コントロールが難しいので、方向性だけなんとなく向けるだけでも良いです。
*虫様筋の収縮を繊細に意識します。
③反対の足も同様に行う

MP関節伸展位からの屈曲

①椅子に腰かけるか床に腰掛ける
②2〜5趾の基節骨の下に、同側の手の2〜5の指先を当てて伸展方向に起こす
③指の先が屈曲しないように細心の注意を払いながら、基節骨の屈曲をする。
*コントロールが難しく、伸展すると力も入りにくです。わずかに動いているかな?くらいでもよいので実践してみて、足を床について立った時の感触で効果を確かめてみます。
④反対の足も同様に行う

MP関節伸展位から趾1本ずつ屈曲

①椅子に腰かけるか床に腰掛ける
②2趾の基節骨の下に、同側の手の2指か3指の指先を当てて伸展方向に起こす。(基節骨を手の指で挟む)
③趾の先が屈曲しないように細心の注意を払いながら、基節骨の屈曲をする。
④2趾が終わったら3趾と順番に行う。
*コントロールが難しく、伸展すると力も入りにくです。わずかに動いているかな?くらいでもよいので実践してみる。反対側の手で足の前側を持って、虫様筋の収縮を感じてみるのも良いです。
④反対の足も同様に行う

 

ストレッチ方法

MP関節を伸展方向にストレッチ

①母趾MP関節を屈曲、2趾MP関節を伸展を手で行う
②2趾MP関節を屈曲、3趾MP関節を伸展
③順番に行っていく
④反対の足も同様に行う

運動のコツ

虫様筋は小さな筋肉です。
意識をして運動する必要があります。
強く働かせようとするよりも、ほんのわずかな収縮を意識できる方が効果的です。

足底方形筋とともに足首の動きやふくらはぎの筋肉の働きにも影響があるので、運動後は歩くことやつま先立ち運動をすると足全体のトレーニングとして効果的です。