長趾伸筋の作用とトレーニング方法【目立たないけどトレーニングする価値のある筋肉】

  • 2019年3月23日
  • 2019年3月25日
  • 足部

長趾伸筋とは

長趾伸筋は下腿の前側(脛)にある筋肉で、足首の背屈、第2〜5趾の伸展に作用します。
歩いているときは前脛骨筋と同じように働く筋肉で、つま先が床に引っかからないよう貢献します。

英語では【extensor digitorum longus muscle】
flexor=関節の角度を大きくする
digit=趾(指)
 longus=長い
という意味です。

特徴

長趾伸筋は下腿の前側にある筋肉の1つです。
前脛骨筋、長母趾伸筋と共に足関節の背屈筋と呼ばれます。
下腿の後ろ側にある深層筋、『長母趾屈筋』『長趾屈筋』『後脛骨筋』に対して、下腿の前側には『長母趾伸筋』『長趾伸筋』『前脛骨筋』が対照的に存在します。

この前側と後ろ側の筋肉で大きな違いが2つあります。
下腿の後ろ側には表層に『腓腹筋』『ヒラメ筋』という大きな筋肉があるので、表層から隠れて存在していて、表層の筋肉と深層の筋肉が分かれていることです。下腿の前側の筋肉(伸筋群)は、腓腹筋・ヒラメ筋のような筋肉は存在しません。
もう1つは、『長母趾屈筋』『長趾屈筋』が走行の途中でクロスすることに対して、『長母趾伸筋』『長趾伸筋』はクロスせず平行に走行します。より単純な動きの方向性です。

長趾伸筋の起始は、脛骨の外側顆、腓骨頭、腓骨の前側、骨間膜から起こります。わりと広い起始です。
1本の腱になり下降して、外果の高さで4本の腱に分かれて第2〜5趾の末端に向かいます。

歩行時につま先が引っかからないように働く筋肉ですが、それは自然に起こります。
つま先が床から離れると同時に活動し、つま先を持ち上げます。
前脛骨筋が主の筋肉で、長趾伸筋は長母趾伸筋と共に補助的な役割です。
無意識の活動で、自然に流れるように歩行することをサポートします。

起始と停止

起始 ー 脛骨の外側顆、腓骨頭と腓骨の前側、骨間膜
停止 ー 第2〜5趾の中節骨、末節骨背側

神経支配

深腓骨神経 ー L4ーS1

働き

①足首(距腿関節)の背屈
②回内方向に作用
③第2〜5趾伸展
④歩行時つま先が床に引っかからないように足首を背屈
⑤踵が接地した時つま先がすぐに倒れないように足首を制御

 

長趾伸筋の作用

足首の背屈、第2〜5趾の伸展

脛骨の外側顆から始まる筋肉で、第2〜5趾の先端(末節骨)の背側まで腱が伸びます。
足首を背屈させ、なおかつ足趾を伸展させます。
意外にも単独で活動させることもできます。

足首の回内

足の小指側を持ち上げるような回内運動にも働く筋肉です。
腓骨筋群と協力して働きます。

歩行の時つま先が引っかからないように足首を背屈させる

歩行の時は無意識でも筋肉が自動的にこういった運動をしてくれます。
床からつま先が離れた直後に足部を背屈させます。前脛骨筋を補助する形で、同じように収縮します。
踵が床に接地した時は、足首が急にパタンと倒れないように遠心性収縮で制御的に働きます。これも瞬間的に無意識に働きます。

 

筋力トレーニング方法

足趾伸展と足首背屈運動

①両足を揃えて接地。
②足趾(第2〜5趾)を伸展させる。床から足趾を持ち上げる。
③足趾を伸展させたまま、踵を軸にして足首を背屈させる。やや回内しながら背屈させると協力に働く。
*20回程度実施(回数は目安)片足ずつ実施します。
*脛骨外側顆に付着している筋肉なので、膝の近くまで収縮を意識します。

四つ這いから下を向いた犬のポーズへ

①足の甲を寝かせて四つ這いになる。
②足首を背屈させる力、足の指先を伸ばす力で床を押して、足首を持ち上げ、そのまま足底を床に接地。下を向いた犬のポーズになる。
③再び元もポジション(四つ這いの姿勢)に戻り、繰り返す。
*強度のある運動なので、無理はしないようにしましょう。構造に体重を乗せないように、前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋の収縮を意識します。

 

ストレッチ方法

つま先の背側(爪の側)を床につけて、足趾を曲げて、足首を伸ばす

①立って行うか、椅子に腰掛けて行う。足の指を曲げて床に爪の方を接地する。
②足首が底屈するように(足の甲が伸びるように)足首の前側を開いていく。
③30秒程度キープする。

 

運動のコツ

下腿後面には、『腓腹筋』『ヒラメ筋』という大きな強い筋肉があるのですが、前面には大きな強い筋肉がありません。
強度の強い運動を急に行うのは控えて、最初はしっかりと収縮できるかどうかを意識するのがコツです。

意外にも長趾伸筋だけでも収縮させることは難しくありません。少し練習をするとできるようになると思います。
第2〜5趾を伸展させて、やや回内させながら背屈し、脛骨外側顆まで意識すると協力に収縮させることができるので、その運動は実践してみてください。

 

脛の前側にある筋肉のトレーニングのススメ

脛の前側にある筋肉のトレーニングは扁平足、捻挫の癖がある人、膝が不安定又はO脚の人などにも有効です。
一見関係なさそうに感じるかもしれませんが、足部の形や足の器用さ、歩行時の足部の制御に関係してきます。

長趾伸筋のトレーニングは軽視されるかもしれませんが、日常生活で使われにくい筋肉なので、意識的にトレーニングすることが大事。
実践しやすくて効果的なトレーニングなので是非実践してみてください。

長趾伸筋のトレーニングの後に、つま先立ち(カーフレイズ)でふくらはぎを筋力トレーニング、アキレス腱を伸ばす運動でふくらはぎをストレッチはオススメです。