足の裏の筋肉(足の内在筋)
トレーニングをする時、足の裏の筋肉を一つ一つ意識して行うことはほとんどないのではないでしょうか?
人間は立っている時足の裏で地面と接しています。
実は、地面に接している足の裏の形状が崩れると、その上に乗る身体の構造が歪み、バランス能力が低下し、膝や腰のトラブルが生じたりします。
足の形は身体にとって、とても重要な役目を果たしています。
足の形を作ることに重要な筋肉は、小さい筋肉の集まりで、足の中だけで完結する筋肉です。
『足の内在筋』といいます。
足の中に起始と停止を両方持つので、靴を履いたらその中に収まってしまいます。
そんな『足の内在筋』、数は10個あります。
それぞれが、違う役割を持ちながら、協力しあって『歩く』『立つ』を支えています。
『手』と『足』の内在筋は働き方が違う
足の裏の筋肉は、手の内在筋とは相反した性格を持っています。
手の内在筋
手の筋肉は、精密で複雑な運動のなために特化して発達しています。
細かい作業や動きができるような筋肉と構造になっています。
足の内在筋
手の内在筋に反して、足の内在筋は『支持」と『歩行』に限定されます。
細かな作業はできませんが、歩行中の運動の制御や、足部のアーチを形成して衝撃を吸収するなど、手にも負けない重要な働きをしてくれています。
どちらかというと足の方が無意識下で働いてくれています。
足の裏の筋肉の作用
身体を支持する
足の内在筋は、荷重した時に筋肉の活動があります。
体重を支えるために働いているんです。
人は立っている時にいつも静止しているわけではありません。
支えながらも細かく内在筋の制御機能が働いています。立位をとっていられるのは、この足部の内在筋の微調整があるおかげ。
多少の揺れや風の抵抗であれば、足の微調整だけでも立っていられます。
それは、ほとんど無意識に働いてくれています。
足部の骨格と筋肉のバランスがとても良い状態に配列されて、筋肉の活動が最小限で支持できるようになることが理想的。
そんな足を作っていきたいところです。
骨格の形に大きく影響する
人間は足の裏で地面に接しています。
足は、その上に乗る骨格が正しい位置に収まるように形を作っています。
それだけでなく、地面の形状が変わっても、運動していても、その上に乗る骨格が正しい位置でバランスをとれるように、柔軟性と張力を使って骨格を保ちます。
例えば、扁平足で足の内側のアーチがなければ、踵は内側に倒れて、その上に乗る脛(脛骨)は内旋して、その連鎖で股関節や背骨の位置は歪んでしまいます。
歩行時の推進力と制御作用
足の内在筋は、足を地面に接地した時に衝撃を吸収するために働きます。
その吸収した力を推進力に変えて、歩行を成り立たせています。
そして、筋肉は収縮して運動を起こしているだけではなくて、関節運動が反対側の運動に対しても遠心性収縮が働きます。
これは運動を起こすだけでなく、細かく制御しながら調整していることを意味します。
実は細かく複雑に連携して、歩行は成り立っているんです。
近年は『扁平足』『外反母趾』『開張足』『浮き指』など、足の支えや連携がうまく機能しない足が多く見られます。
足の内在筋の種類
足の内在筋は、ほとんどが足の裏(足底)にあります。
足背にある内在筋は『短趾伸筋』と『短母趾伸筋』だけです。
それほど、足底の機能は身体にとって重要ということかもしれません。
実際に地面に接地して、バランスをとったり衝撃を吸収するのは足底の筋肉群です。
足底の内在筋
足底の筋肉は4層になって配列されています。
最も浅いのは第1層目と数えます。
数が大きくなるに従って深層に位置することを表します。
実際の機能としては、層をまたいで連携します。
筋収縮と弛緩、運動と制御と繰り返して、『歩く』『姿勢を支える』『バランスを取る』が成り立っています。
第1層
①母趾外転筋
②短趾屈筋
③小趾外転筋
第2層
①足底方形筋
②虫様筋
第3層
①短母趾屈筋
②母趾内転筋
③短小趾屈筋
第4層
①背側骨間筋
②底側骨間筋
足の内在筋の基本的なトレーニング
足の内在筋の基本的なトレーニング方法をご紹介します。
どこでも簡単にできるのがメリットです。
トレーニング方法
足部のアーチは3つあります。(内側縦アーチ、外側縦アーチ、前足部横アーチ)
この3点構造が効率よく働いて身体を支えています。
この3点の端と端である、『親指の付け根』『小指の付け根』『踵』。
ここの部分でしっかりと地面を押して、その中心部を吸い上げるように持ち上げます。
トレーニングアイテム
自分で行う運動だけでなく、内在筋が働きやすいようにサポートするアイテムもたくさんあります。
自分の足に合っているもの、ライフスタイルに合っているものを探せれば、有効に活用できそうです。
インソール、足指パッド、ストレッチバンド、サンダルなど、、。いろいろあります。
トレーニングの勧め
足の内在筋は日常で働く筋肉です。
無意識下で働いてくれる筋肉でもあります。
一度でも、きちんとトレーニングすることができると、その後は日常生活で機能的に働いてくれるようになります。(スポーツのパフォーマンス向上のために強化するときは別です)
10個の筋肉がそれぞれに連携して形を作っているので、できれば一度、1つ1つの筋肉を分けて運動してみることをお勧めします。
『この筋肉は動かしやすいけど、この筋肉は働いていない』とならないように、面倒でもきちんと練習したいところ。全く働いていない0を1にするのが非常に大事です。
1つ1つの筋肉の特徴も載せているので、軽い気持ちでチャレンジしてみてください。
足部が変わると、全身が整う方にシフトしやすくなります。
腰痛や膝痛、肩こりの原因になっていることもあるため、トレーニングによってそれらの症状に効果的なこともあります。